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次の景気サイクルにおけるグローバル中小型株の投資機会を探る

本稿では、グローバル中小型株への投資を検討すべき理由と次の景気サイクルにおける魅力的な投資機会についてご説明します。

執筆者

Nicholas J. Paul, CFA
インスティテューショナル・
ポートフォリオ・マネジャー

グローバル中小型株への投資を検討すべき理由

グローバル中小型株は長期にわたり大型株を大きくアウトパフォームしています(図表1参照)。市場のけん引役は短期的に入れ替わりますが、中小型株が次のローテーションで市場のけん引役になる可能性は十分にあると考えられます。

中小型株への投資を検討すべき理由

中小型株には特に魅力的な投資機会があるとMFSは考えています。前述のように、市場のけん引役は数年ごとに交代する傾向がありますが、ITバブルの終焉から世界金融危機(GFC)に至るまでの8年間(2000年~2007年)は、グローバル中小型株が持続的にアウトパフォームし、MSCI ACWI中小型株インデックスのリターンは94%に達しました(これに対し、MSCI ACWI大型株インデックスのリターンはわずか21%)(図表2参照)。全く同じパターンが再現される保証はありませんが、2000年代初頭と今日の市場環境との間には多くの類似点があります。

類似点は次のとおり:

インフレ率と金利 - 2000年代初頭は金利が低下傾向にあり、金利が急激に上昇した2022年とは方向性が大きく異なります。もっとも、その8年間、金利とインフレ率は非常に安定していました(図表3参照)。実際、その8年間の米国10年債の平均利回りは4.7%、世界のインフレ率は3.7%(実質金利は約1%)であり、世界金融危機後の10年間を特徴づけるゼロ・インフレとゼロもしくはマイナス金利の環境よりも今日の現実(および今後直面するであろう市場状況)とはるかによく合致しています。実際には、短期的に金利はやや低下するかもしれませんが(歴史的にこれは中小型株にとって有利)、ゼロ金利政策の世界に戻りバリュエーションが高くデュレーションの長い大型グロース銘柄が恩恵を受ける可能性は極めて低いとの見方に異論はないでしょう。これを踏まえると、景気に敏感な市場分野(すなわち、中小型株)へのエクスポージャーがより大きい資産クラスがこの期間中に非常に好調だったのは当然といえます。この市場分野が「健全な」インフレ率と高金利の恩恵を最も大きく受ける傾向があるためです。実際、この流れは2022年10月に始まりました。2022年10月から2023年初頭にかけて、当初の金利上昇が市場に吸収されると、米国の大型グロース株から中小型株へ大幅なローテーションが起きましたが、その後どうなったでしょうか。2023年の初めに生成AI(人工知能)が登場し、米国の大手テクノロジー企業7社「マグニフィセント・セブン」を土壇場で救ったのです。もし生成AIがなかったなら(そんな話が通用しないのは承知の上であえて言えば)、今日の市場環境は大きく異なっていたでしょう。

集中リスク - 生成AIと言えば、米国テクノロジー企業への極端な集中リスクは2000年代初頭(いわゆるITバブル期)を思い起こさせます(図表4参照)。もっとも、今日の巨大テクノロジー企業は明らかに優良企業であり、ITバブル期に破綻したPets. comやeToysと同列に論じることはできません。しかし、こういった市場集中度の高い銘柄の利益見通しが株価に組み込まれた高い期待に応えられなかった結果、バリュエーションが低下することになれば、相対的に割安な中小型株への投資が非常に大きな利益をもたらす可能性があります。

米国株の低リターン環境 - 2000年代初頭のITバブル崩壊後、米国株の低リターンの期間が続きました。実際、バブル崩壊後の8年間にMSCI ACWI 中小型インデックスで測定したグローバル中小型株は94.5%(年率8.7%)上昇した一方、S&P 500は14%(年率1.7%)の上昇にとどまり、テクノロジー銘柄の比重が高いRussell 1000® Growthは21.2%(年率2.9%)下落しています。したがって、仮に、あるいはおそらく、今日の米国のベンチマークを支配している巨大テクノロジー株に生成AIを巡る高揚感が完全に織り込まれた場合、絶対リターンの低い時代が長期にわたって到来する可能性があります。それが2000年から2007年にかけて生じた状況と合致することも間違いないでしょう。

インデックス 累積リターン(米ドル・ベース)
2000年1月1日~2007年12月31日
年率リターン(米ドル・ベース)
2000年1月1日~2007年12月31日
MSCI ACWI 中小型 NR USD 94.48 8.67
S&P 500 TR USD 14.09 1.66
Russell 1000® Growth TR USD -21.17 -2.93

バリュエーション - 過去10年間、米国大型グロース株以外の多くの資産クラスに投資する際の基準だったバリュエーションは類似点リストの最後に置きました。残念ながら、この間に気付かされたように、バリュエーションだけでは投資根拠にならず、株価は材料がなければ長期間「割安」な水準にとどまる可能性があります。しかし、 MFSの見方では、グローバル中小型株が大型株比で2標準偏差「割安」な水準で推移している現在のような魅力的な買いの機会が生じるのは2000年代初頭以来のことです(図表5参照)。さらに、実質的に「無償で」資本にアクセスできるゼロ・インフレ、ゼロ金利の世界では、高バリュエーションはあまり重要な意味を持たなかったのですが、高金利、高インフレ、低流動性の世界では高バリュエーションは非常に重要な意味を持ちます。

今後のトレンドが広範な企業に恩恵をもたらす可能性

今日と2000年代初頭の市場環境の類似性に加えて、おそらくより重要な点として、テクノロジーと人工知能が私たちの日常生活の重要な部分を占めるようになる一方で、今後のトレンドが過去10年間のテクノロジー中心の米国企業だけでなく、より広範なセクターや業界に恩恵をもたらす可能性があると考えています。これらのトレンドの例をいくつか挙げると、設備投資支出の増加(事業運営費との比較でのみ)、インフラ更新支出、エネルギーとエネルギー移行、防衛および国家安全保障、サプライチェーンのリショアリング(国内回帰)・ローカリゼーションなどがあります。多くの大型企業がこうしたトレンドの恩恵を受ける可能性がある一方で、多くの中小型企業も恩恵を受ける可能性があります。大型テクノロジー企業は米国勢が圧倒的に多い一方で、様々なセクター・業界で世界最高クラスの企業がすべて単一の地域や資産クラスに属していると考えるのは単純すぎるでしょう。

標準的グローバル・ベンチマークの変化

最後に、しかしおそらく最も重要なことですが、投資家がグローバル中小型株という資産クラスに特化したアロケーションを今、検討すべき最大の理由は、グローバル投資家が従来の標準的グローバル・ベンチマークを通じて中小型株のエクスポージャーを取ることがかなり難しくなっているためです。これは主として、過去10年間、一握りの米国テクノロジー銘柄が高いリターンを達成した(その結果として時価総額が増加した)ためです。最も影響力のある大型株が圧倒的なシェアを占めていることは、時価総額別で見るとよくわかります(図表6参照)。時価総額3,000億米ドル超の企業が標準的なベンチマークに占める割合は2011年にはわずか2.5%だったのに対し、 30%超にまで上昇しています。実際、MSCI All Country World Indexの加重平均時価総額は同期間に681億米ドルから6,680億米ドルにまで上昇しており、多くの投資家は中小型株へのアロケーションが不足した状況に置かれています。

MFS®が選ばれる理由

MFSは、世界8カ所にリサーチ・オフィスを置くとともに全運用戦略共通のリソースであるグローバル・リサーチ・プラットフォームを構築しており、アナリストを各地の市場に配置して詳細な企業リサーチと銘柄単位の国際比較を行っています。プラットフォームの幅広さ、深さと現地専門知識とが相まって、他社が見逃す可能性がある銘柄を調査・発掘することができ、十分に分散が効いたグローバル中小型株ポートフォリオを提供できると考えています。

以上をまとめると、MFSは

  • 相対的に非効率でアナリストのカバーが不十分な資産クラスに多くのリソースをグローバルに投入しています。
  • MFSグローバル・リサーチ・プラットフォームと長期の投資ホライズン(時間軸)を活かして、グローバル中小型株のユニバースで独自の投資機会を見いだすことができます。
  • 世界中のお客様に中小型株戦略をご提供してきた長い歴史(2023年12月31日現在、中小型株ポートフォリオの預かり運用資産残高は約550億米ドル)があります。
  • 平均在籍年数18年に上るポートフォリオ運用チームを擁し、中小型株運用において豊富な経験を有しています。

上記の情報や個別の企業および/または有価証券は、投資の助言、売買の推奨、またはMFS商品における売買を意図するものではありません。

考慮すべき重要なリスク:

株式:株式市場および個別銘柄投資は値動きが大きく、発行体・市場・経済・産業・政治・規制・地政学、環境、公衆衛生などの状況に応じて、またはこれらの状況に関する投資家の認識によって、大幅に価値が下落する可能性があります。

国際市場:海外市場への投資は、市場、為替、経済、産業、政治、規制、地政学などの厳しい状況により米国市場への投資に比べ高いリスクを伴い、値動きが激しくなる可能性があります。

中型株:中型株への投資は、より規模の大きい企業への投資と比べて値動きが激しくなる場合があります。

小型株:小型株への投資は、より規模の大きい企業への投資と比べて値動きが激しくなる場合があります。

 

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