2024年07月
グローバル・グロース株式の投資機会
本稿では、グローバル・グロース株式への投資アプローチや新たな投資機会とトレンドの展望、持続的な利益を上げている企業に投資することの重要性についてご説明します。
Laura Granger, CFA
インスティテューショナル・
ポートフォリオ・マネジャー
George Fontaine, CFA
シニアIPM
リサーチ・アソシエイト
グローバル・グロース株式投資は過去20年間に大型株で年率9.4%のリターンを上げており、グロース株が実りの多い投資スタイルであることを示しています1。堅調の要因は長い期間の中で様々ありますが、共通して言えるのは、長期的に見るとマルチプルの拡大や配当ではなく、利益が株価の大部分の要因であるということです。マクロ要因などの影響によりボラティリティが短期的に高まった期間は何度かあったものの、リターンを分解すると長期的な株価パフォーマンスの大部分は利益によって説明することができます。MFSは、ファンダメンタルズが利益とキャッシュフロー獲得の原動力であり、ひいては長期的に株価パフォーマンスを押し上げる要因であると考えています。そのため市場サイクルを通じて平均以上の利益成長を維持できる企業の特定に注力しています。そして、ボトムアップのファンダメンタルズ・リサーチにより、過去5年間に生じた大局的テーマをいくつか特定しました。株式投資ユニバース内の複数のセクターにまたがって大きな影響を与える重要な変化が市場で起き始めていると、我々は考えます。
本稿では以下について論じます。
MFSはファンダメンタルズに重点を置いたボトムアップによる長期投資を行っており、ファンダメンタルズが利益とキャッシュフロー、ひいては株価の押し上げ要因となると考えています。
図表1は、MSCI ACWI Growth IndexとMSCI ACWI Indexの長期リターンの要因分析を示したものです。比較のためにMSCI ACWI Value Indexのトータルリターンも示しています。2004年以降のグローバル株式の長期リターンを分解すると、短期的にマクロ要因などの影響を強く受けたと思われる期間も何度かあるものの、株価リターンの大部分が利益で説明できることをデータは示しています。株価収益率(PER)は時間の経過とともに変動するためリターン全体の一部を説明するにとどまる一方、配当はそれより若干大きい部分を説明しています。
MFSは長期投資を旨とし、お客様に安定したリスク調整後リターンを提供することを目標としています。また、成長の一貫性を重視し、平均以上の成長率を長期的に達成できると考えられる質の高い企業を特定することを目指しています。平均以上の安定的な成長を達成できる企業にはいくつかの共通点があり、MFSはこの共通点を強靭なリサーチを通じて特定することを目指しています。これら共通点の一部は以下の通りです。
1) 成長市場における高い競争優位性 2) 他社にない製品やサービス 3) 高い参入障壁 4) 価格決定力 5) 利益率を向上させる能力 6) 力強い長期的テーマによる後押し |
グローバルな長期的テーマを理解することは、企業の長期的な収益成長の可能性を判断する一助となり、時にはマクロ経済の逆風を克服することにもつながります。また企業の利益水準とその持続可能性に焦点を当てた調査は、市場トレンドの大きな変化を捉えることにつながります。企業に恩恵をもたらし得る需要の大きな長期的変化を先取りすることが、投資家に価値をもたらすこともあります。現在、非常に力強い長期的成長テーマが始まったばかりであり、そのテーマは複数のセクターの投資展望を変化させ、新たな事業機会を創出するものとMFSは考えています。これらのテーマは幅広い企業に恩恵をもたらすものです。以下に、こうした有望な投資機会がある分野についてまとめました。
構造的追い風と景気循環的追い風の両方が吹いており、次の景気サイクルで広範な業種にわたり利益を押し上げると考えられます。いくつかの市場は拡大しており、新たな投資機会が過去10年間に見られなかったようなペースで発生しています。
ここ数十年で最もダイナミックな投資サイクルが幅広い分野で始まったばかりであると考えます。こうした変化は様々なセクターに広範な影響を与える見込みであり、非常に有望な投資機会を生み出しているとMFSは見ています。この変化に伴う投資支出は、本稿で特定した様々なテーマにわたって利益成長を促進する可能性が高く、様々なセクターの幅広い企業に有意な恩恵をもたらします。いくつかの市場が拡大し、また新しい市場が始まる中で、これら進化する市場で成功できると考えられる企業の特定に努めています。
グロース株は引き続き良好なパフォーマンスを提供できると考えています。しかし、すべてのグロース株が同じではないため、アクティブ・アプローチが長期的に有益であるとMFSは考えます。投資にあたっては、規律を保ち、企業の収益の原動力に引き続き注目する必要があります。歴史的に見ると長期的には企業利益が株価を動かしており、それは今後も変わらないと考えられます。市場トレンドは正常化しつつあるとみられ、株価はEPSに反応しています(ただし、株価とEPSの相関性は低下しています)。ファンダメンタルズの違いが株価リターンの違いの源泉です。リターンには引き続きばらつきが見られることから、ベンチマークで大きなウェイトを占める銘柄を中心としたアクティブ運用によって付加価値を提供することが可能です。業績予想が続々と発表され、それに株価が反応し始める中、銘柄選択が長期的なリターンに影響を与えることができるとMFSは考えています。
1 出所:FactSet。2004年6月30日~2024年6月28日までのデータ。トータルリターン(外国源泉税控除後)はMSCI All-Country World Growth Indexの米ドル・ベースです。.
2 IEA (2024), Electricity 2024, IEA, Paris https://www.iea.org/reports/electricity-2024, Licence: CC BY 4.0。
3 EPRI. “Powering Intelligence: Analyzing Artificial Intelligence and Data Center Energy Consumption.” Electric Power Research Institute, Inc., https://www.epri.com/research/products/000000003002028905. 2024年5月28日発行。
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