decorative

2025年の主要テーマ

本稿では、2025年にグローバル証券市場やマクロ経済に影響を及ぼす可能性があると考える6つのテーマについてご説明します。

執筆者:マーケット・インサイト・チーム

 

  • 概要 

    概要 

    2025年を展望するにあたっては、第2次トランプ政権から米国企業の記録的な高収益、画期的な科学技術の普及に至る、数多くの主要テーマがマクロ経済および市場情勢を形成する要素になるものと思われます。米国では、第2次トランプ政権下で貿易、関税、移民などをめぐる複数の政策が大幅に転換されることが予想されます。これらの転換は、米国内のマクロ経済および市場環境のみならず、世界にも影響を及ぼすでしょう。

    米国株式市場の力強さの主な特徴として、ここ数年の企業利益率の高さが挙げられます。利益率は過去最高に近く、大幅な調整が生じる兆候は見られません。米国企業の利益率は構造的転換を迎えているのでしょうか。答えは時を経ればわかることですが、好調も行き過ぎると市場にとって悪材料となりかねません。経済と市場が過熱しすぎて米国のノーランディング・シナリオが浮上するリスクには要注意です。このシナリオが定着した場合、インフレが主要なマクロリスクとして再浮上し、米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策見通しに広く影響を及ぼす可能性があります。ノーランディングとなった場合、それは米国が高成長軌道に移行したことを意味する一方で、高水準の市場金利がさらに長期化する可能性をも示唆します。一方、中国が直面している課題は米国とは性質が大きく異なります。不動産セクターの大幅低迷、地方政府の膨大な債務負担、デフレリスクの高まり、産業セクターの総体的な過剰生産能力、少子高齢化など、構造的な逆風が依然強く吹き付けています。中国政府はこうした課題を認識し、広範な政策パッケージを投入して経済再生を図ろうとしていますが、効果的に対処できるかどうかについて我々は依然として懐疑的です。世界情勢に目を向けると、成長政策と金融政策に各国間でますます乖離の兆しが見られ、今後の二極化が予想されます。これはグローバルにアクティブ運用を行うマネジャーにとって好ましい環境です。最後に、セクター別テーマとして、ヘルスケアにとどまらず変革的インパクトをもたらす可能性のある画期的なライフスタイル医薬品(GLP-1受容体作動薬)の進歩に特に注目しています。



    貿易政策の影響、足元の米国における生産性ショック、金融政策のさらなる乖離、変革をもたらす科学技術の進歩など、2025年は数多くの変化が待ち受けています。


  • 第2次トランプ政権の発足とその影響

    米国では大幅な政策転換が予想され、マクロ経済と市場に重大な影響を及ぼすことが予想されます。ドナルド・トランプ次期大統領は、選挙期間中、2017年減税・雇用法の延長、国内生産メーカーの法人税率引き下げ、グリーンエネルギー税額控除の廃止などの成長促進政策を提唱してきました。中でも力を入れたのが、輸入品に対する高関税の賦課です。議会は共和党が過半数議席を占めており、大幅な政策変更が予想されます。減税、広範な規制緩和、貿易障壁の強化というトランプ氏の政策ミックスは、マクロ経済にさまざまな、且つ重大な影響を及ぼすことが予想されます。

    リスク資産、高金利、関税リスク。リスク資産は選挙結果に対し、かなりポジティブに反応しました。高成長への期待や、新政権がさらなる財政支出に踏み切った場合の潜在的なインフレ・リスクの高まりなどを投資家が織り込み始めたことがその一因です。総じて、第2次トランプ政権は株式市場に有利となるマクロ環境を促進すると同時に、高金利の長期化をもたらすものと考えます。米ドルについては、今後かなりの上昇が予想されます。一方リスクとしては、関税引き上げの見通しが世界のリスク・センチメントに対する主な悪材料となるでしょう。関税に関しては、トランプ氏が次期商務長官に指名したハワード・ルトニック氏と、通商代表部代表に指名したジェイミソン・グリア氏が指揮を取りますが、グリア氏は米中間の戦略的デカップリング(分断)を提唱している人物です。関税の拡大はインフレ率上昇の引き金になりかねず、また米国の生産者は貿易相手国から報復関税を課される可能性があり、経済に負の循環が生じます。トランプ次期大統領の税制計画は、すでに膨張している財政赤字を今後10年間で緩やかに3兆米ドル膨らませると予想されています。ただし、大規模な規制緩和、潜在的な関税収入、小さな政府化観測が、その負の影響を補う可能性があります。

    勝者と敗者。新体制の下では、エネルギー企業、特に化石燃料メーカーに対する規制圧力が後退する可能性が高いと考えます。自動車業界、特にピックアップ・トラック販売への依存度の高い米国自動車メーカーでは、電気自動車(EV)義務化の緩和による恩恵が期待されますが、貿易摩擦は米国車の生産工程の一部を成すメキシコやカナダの事業に逆風となる可能性があります。金融業界は、規制緩和と資本市場の活発化の恩恵を受ける位置づけにあります。

      検討事項 

    • 中小型株式は関税の影響を受けにくく、税制改革や規制緩和の恩恵が期待されます。
    • 米国株式はトランプ大統領の政策ミックスによる恩恵を非米国株式よりも大きく受ける可能性があります。

     


  • 企業の利益率は引き続き堅調

    古い理論を見直す時です。利益率の平均回帰の理論によれば、ある産業が極めて高い収益を達成すると、膨大なリターンを得ようと新たな企業が参入し、競争の結果、利益が低下していきます。逆に収益性の低い産業では、市場から企業が撤退し、競争が緩和される結果、利益率が向上します。利益率はわずかな変化でも企業収益を大きく変化させうるため、あらゆるビジネスにとって極めて重要です。しかし、何が変化したのか投資家にはわからないまま、米国企業の利益率はここ数年高止まりしています。

    構造的なコスト低下。米国企業の利益率は過去最高に近く、懸念はありながらも、高水準を維持できたのには十分な理由があります。第1に、2020年から2022年にかけて金利がゼロ近辺であった当時、多くの企業が負債の借り換えを行うことで債務返済コストを全体的に引き下げ、償還期限を先伸ばししました。このメリットは債務の再編を行わない限り、債務が満期を迎えるまで続きます。第2に、2017年減税・雇用法を受けて法人税率が21%に引き下げられたことで、多くの企業の税率が一時的に低下し、その恩恵が直接企業利益に及びました。これは企業の損益計算書の構造的な変化であり、第2次トランプ政権下では税率がさらに引き下げられる可能性があります。第3に、過去4年間で巨額の財政刺激策が、政府による企業支援策を通じて直接的に、また消費刺激策を通じて間接的に、経済に投入されました。新政権下ではさらなる財政刺激策の実施が期待されます。

    生産性ショックがもたらす好影響。人工知能(AI)の応用や量子コンピューティングのブレークスルーなど、テクノロジーは新たな時代の幕開けを迎えています。多くの事務仕事は、膨大な作業処理能力を持ち拡張も容易なAIに取って代わられるか、大幅に縮小されるでしょう。これはあらゆる産業の企業に恩恵をもたらす可能性が高く、製造業もスマート・マニュファクチャリングのブレークスルーによって生産の遅れを軽減することが可能です。機械が故障する前に交換部品が必要であることを教えてくれるようになれば、効率性は飛躍的に高まり、その結果、コスト削減と利益率の向上が期待できます。

    銘柄選択は依然として必要。個々の企業レベルの利益率は、その企業の事業戦略、経営陣の手腕、業界における地位などの長所をベースに、企業ごとに異なります。市場はバリュエーションの上昇という形で将来の利益率の上昇を織り込んでいるかもしれません。従って、利益率が全体的に高い水準で推移するとしても、やはり銘柄選択が常に最重要であることに変わりはありません。

      検討事項 

    • 企業の利益率を企業財務の構造的変化から捉えてみると、持続的な上昇を示唆していると考えられます。
    • 株式市場はバリュエーションの上昇という形で将来の利益率の上昇を織り込んでいるかもしれませんが、投資にあたっては利益率の上昇に惑わされないよう注意が必要です。
    • 利益率が全体的に高い水準で推移するとしても、やはり銘柄選択が重要です。

     


  • 経済の過熱はFRBの利上げ再開を余儀なくさせる

    ノーランディング・リスクに要注意。米国経済のこの1年間のコンセンサス・シナリオはソフトランディングでした。しかし、新たな筋道が浮上しつつあります。顕著な景気後退を伴わずに経済成長が再加速するというノーランディング・シナリオです。このシナリオは、成長促進派と目されるトランプ新政権の経済計画が明らかになるに伴い、現実味を帯びてきているようです。成長が再加速することで経済が過熱し、インフレが再燃した場合、FRBは利上げ再開を迫られる可能性があります。

    成長期待の好循環。底堅い労働市場、生産性の向上、堅調な個人消費を背景に、ノーランディングの確率が高まっています。新規雇用が継続的に発生し、失業率は過去最低近辺にあるなど、労働市場は堅調に推移しています。従業員1人当たりの生産量で測定される生産性は、新規事業の創出と新技術の採用もあって2020年以降大幅に向上しています。この生産性の急上昇は、多くの米国民の賃金上昇と生活水準の向上に寄与しています。さらに、労働市場の活況と賃金の上昇が個人消費に拍車をかけています。これは、力強い雇用の増加が生産性を向上させ、個人消費の増加につながり、それが経済成長を促進するという好循環を生み出します。経済成長の加速はさらなる雇用を創出し、この循環をさらに伸ばしていきますが、その一方で、インフレ圧力のリスクも増大させます。

    しかし、経済の過熱はリスクであり、金融政策に影響します。堅調な経済成長と目標水準を上回るインフレが続けば、FRBは長期にわたって金利を抑えようとする可能性が大きくなります。通常、予想以上に堅調な経済成長と緩やかなインフレが重なると、企業収益を押し上げ、投資家の信頼感を高め、資産価格を押し上げる効果があります。逆に、長期金利の上昇見通しは賃金を圧迫し、資本コストを上昇させ、住宅・商業用不動産に負の影響を及ぼす可能性があります。また、FRBが利下げを行っても、すでに上昇している長期利回りにさらなる上昇圧力がかかります。ノーランディング・シナリオはリスク意欲を刺激する可能性があるものの、経済を過熱させ、インフレ率の上昇や実質投資リターンの低下を招く恐れもあると認識しておくことが極めて重要です。ノーランディング・シナリオは富を生み出す機会をもたらす一方で、投資家による慎重なリスク管理が必要となります。

      検討事項 

    • ノーランディング・シナリオでは、景気に対するFRBの反応や投資家自身のリスク資産への対応が多様化します。
    • 高金利がさらに長期化する環境下では、工業や金融サービスなど、配当利回りの高いバリュー・セクターを検討するのが賢明です。
    • 債券では、社債市場のスプレッドがタイトであることから、長期よりも中立ないし短期のデュレーションを選好し、クオリティの高い銘柄を選好します。

     


  • 行き詰まる中国経済

    中国には依然として激しい構造的逆風が吹きつけています。危機的状況にある不動産セクターの不良債権及び債務不履行問題、地方政府の債務問題、デフレリスクの高まり、工業セクターの体系的な過剰生産能力、少子高齢化など、中国経済は無数の課題を抱えています。加えて地政学的リスクが高まっているほか、米国と欧州の関税賦課の脅威が再燃しており、世界貿易における中国の位置づけはさらなる見直しを迫られています。加えて地方政府は、インフラ計画や都市開発計画向けに地方融資平台(LGFV)などオフバランス手法を通じて借り入れた過剰債務により、財政が深刻な打撃を受けています。経済成長面では、内需と個人消費に構造的な逆風が吹いています。中国の成長モデルがより持続可能な消費主導型経済へと移行するためには、有力な中間層の台頭と強固な社会セーフティネットが成功の鍵とされてきました。しかし、その進捗は緩慢で、少子高齢化の深刻化により、達成はさらに困難になるかもしれません。中国人の年齢の中央値は現在40歳を超えており、米国の38歳、インドの29歳と比べて高齢化が進んでいます。一方、弱いインフレ、さらにはデフレがますます定着しつつあり、家計や企業のバランスシートに重くのしかかっています。

    こうした課題を認識し、中国政府は広範な政策パッケージで経済の活性化を図っています。2024年11月には10兆元(約1.4兆米ドル)規模の地方債務対策を発表しましたが、直接的な刺激には欠け、期待に届きませんでした。3月に開催される全国人民代表大会(全人代)では財政計画の詳細が発表される見込みであり、注目を要します。さらなる政策支援によってこうした構造的な逆風に対処できるか、政策の規模、時期、調整、効果を注視しています。財政政策は地方政府レベルで実施されるのが最も効果的ですが、その地方政府は財政面の制約が最も深刻です。

    総じて、中国経済については懐疑的な見方を維持しているものの、選別的な投資機会は見出せると考えています。構造改革の進展は非常に緩慢であることから、セクターの選別が鍵となると我々は考えます。今後の戦略としては、財政刺激策の恩恵が期待されるセクターに注目することが賢明です。食品やアルコール飲料、オンラインゲームや通信などの消費財はいずれも他国からの関税の脅威にさらされる可能性が低いことから、注目に値するセクターであると考えます。

      検討事項 

    • 3月の全人代前後を含め、政府の政策発表を注視します。
    • 潜在的な貿易保護措置にさらされる資産に対する投資スタンスを確定させます。
    • 財政刺激策の恩恵を直接的に受ける可能性のあるセクターや企業。

     


  • 大いなる二極化

    世界のマクロ情勢はまちまち。2025年は経済の二極化がさらに進みそうです。米国では、底堅い消費、堅調な企業業績、新大統領の下で施行見込みの減税の影響により、経済は力強い成長軌道を維持する見込みです。他方、ドイツ、フランス、中国といった国々は、政局不安、デフレリスク、製造業不況といった大きな逆風を受けています。インフレ懸念が概ね一段落したことから、今後、成長見通しが中央銀行の政策決定に果たす役割が大きくなると予想します。

    各国金融政策に乖離の兆候。世界の中央銀行は、ごく一部の国を除いて今後も緩和モードを維持すると予想されますが、利下げの規模やペースは国によってかなり異なると思われます。言い換えれば、緩和政策の乖離という新たな領域に入ったということです。FRBなど一部の中央銀行は政策金利をせいぜい中立水準(経済が完全雇用と安定したインフレ下にあり、両者のバランスが保たれる金利)に戻そうとしている一方、欧州中央銀行などは、中立金利をはるかに超える緩和を検討し、大幅な金融緩和を推進する可能性があります。

    グローバル債券市場もアクティブ・マネジャーの手腕が試される環境。各国の金融政策と経済成長が乖離している状況を勘案すると、2025年は市場の幾分かの変調に伴いレラティブバリューの獲得機会が発生すると予想します。米国のマクロ環境が予想通り堅調を維持すれば、米国の長期デュレーション・ポジションはやや不利になるでしょう。対照的に、ユーロ圏のように成長見通しが弱く、中央銀行の追加的政策対応が予想される地域については、デュレーションを長めとする戦略が効果的な可能性があります。一方、エマージング市場でも、通貨安と米国の高金利の影響により、中央銀行が緩和サイクルの減速を迫られる可能性があります。エマージング諸国間でもファンダメンタルズが異なるため、国・地域をアクティブに選択する運用においてはソブリン債にアルファ創出の機会があるかもしれません。最後に、金融政策の乖離はヘッジコストの見通しにも大きく影響する可能性がありますが、それは投資家によって障壁とも機会ともなり得ます。マクロ動向、マクロ政策、マクロリスクが投資成果に大きな役割を果たす状況下、当面トップダウンの投資判断が重要になると予想します。

      検討事項 

    • グローバル債券のエクスポージャーを増やすことで、世界的な変調に対応できるかもしれません。
    • 現在の欧州など、経済成長とインフレが大きく減速している地域のデュレーションをオーバーウェイトとします。
    • ヘッジコストが低減する機会を捉えてポートフォリオの利回りを高めます。

     


  • 画期的なライフスタイル医薬品:GLP-1受容体作動薬

    医薬品分野における新たなブレークスルーになるか?浄水インフラや抗生物質のような医薬品など、公衆衛生の進歩は、かつて世界中の人々の健康を蝕んでいた病気の影響を軽減させてきました。こうした技術革新は平均寿命を延ばし、生産性を向上させ、生活水準を世界的に引き上げました。今日、肥満は多くの疾病の合併症や、がんや心臓病など多くの疾病の主要な原因として、医療における大きな課題となっています。GLP-1受容体作動薬は当初2型糖尿病治療薬として創製されましたが、体重減少を促進する効果が実証されており、人々の生活と経済の双方に好影響を与える21世紀初の開発医薬品となることが期待されています。

    変革の影響はヘルスケアにとどまらず。GLP-1受容体作動薬の急速な普及は変革をもたらす可能性を秘めており、すでに当分野の大手医薬品メーカーの収益拡大に大きく貢献しています。各社は製造能力を拡大して旺盛な需要に対応しています。医療機器メーカーや医薬品物流に携わる企業も、需要拡大の恩恵を受ける位置づけにあります。減量治療が普及すれば、医療、フィットネス、食品・飲料、衣料品、資産管理、さらには運輸など、多くの分野や業界に影響が及ぶでしょう。GLP-1受容体作動薬を減量に使用することで全体的なカロリー摂取量が削減され、その結果として消費傾向に変化が起き、ファーストフード需要が後退するかもしれません。医療費の減少は消費パターンを変化させる可能性があります。痩せるとサイズの小さな服への買い替え需要が発生するため、衣料品需要が増大する可能性があります。寿命が延びれば、介護施設や資産管理サービスのニーズが高まる可能性もあります。総じて経済生産性が恩恵を受ける可能性があります。ただし、こうした医薬品の開発と普及は現在進行中であり、創造的破壊と考えられるあらゆる技術/発見にも言えることですが、長期的な勝者を見極め、そうした銘柄を保有し続ける確信を持つには、徹底したファンダメンタルズの調査、知的好奇心、投資規律が必要です。

      検討事項 

    • GLP-1受容体作動薬は長寿命、労働者の生産性向上、経済成長をもたらす、現代のヘルスケア問題への答えとなるかもしれません。
    • GLP-1受容体作動薬の急速な普及によって、医薬品メーカー以外にも利益や不利益を被る可能性のあるセクター/産業が生まれると考えられ、両者の見極めが重要です。

     

     

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    ご利用にあたっての注意事項

概要 

2025年を展望するにあたっては、第2次トランプ政権から米国企業の記録的な高収益、画期的な科学技術の普及に至る、数多くの主要テーマがマクロ経済および市場情勢を形成する要素になるものと思われます。米国では、第2次トランプ政権下で貿易、関税、移民などをめぐる複数の政策が大幅に転換されることが予想されます。これらの転換は、米国内のマクロ経済および市場環境のみならず、世界にも影響を及ぼすでしょう。

米国株式市場の力強さの主な特徴として、ここ数年の企業利益率の高さが挙げられます。利益率は過去最高に近く、大幅な調整が生じる兆候は見られません。米国企業の利益率は構造的転換を迎えているのでしょうか。答えは時を経ればわかることですが、好調も行き過ぎると市場にとって悪材料となりかねません。経済と市場が過熱しすぎて米国のノーランディング・シナリオが浮上するリスクには要注意です。このシナリオが定着した場合、インフレが主要なマクロリスクとして再浮上し、米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策見通しに広く影響を及ぼす可能性があります。ノーランディングとなった場合、それは米国が高成長軌道に移行したことを意味する一方で、高水準の市場金利がさらに長期化する可能性をも示唆します。一方、中国が直面している課題は米国とは性質が大きく異なります。不動産セクターの大幅低迷、地方政府の膨大な債務負担、デフレリスクの高まり、産業セクターの総体的な過剰生産能力、少子高齢化など、構造的な逆風が依然強く吹き付けています。中国政府はこうした課題を認識し、広範な政策パッケージを投入して経済再生を図ろうとしていますが、効果的に対処できるかどうかについて我々は依然として懐疑的です。世界情勢に目を向けると、成長政策と金融政策に各国間でますます乖離の兆しが見られ、今後の二極化が予想されます。これはグローバルにアクティブ運用を行うマネジャーにとって好ましい環境です。最後に、セクター別テーマとして、ヘルスケアにとどまらず変革的インパクトをもたらす可能性のある画期的なライフスタイル医薬品(GLP-1受容体作動薬)の進歩に特に注目しています。



貿易政策の影響、足元の米国における生産性ショック、金融政策のさらなる乖離、変革をもたらす科学技術の進歩など、2025年は数多くの変化が待ち受けています。


第2次トランプ政権の発足とその影響

米国では大幅な政策転換が予想され、マクロ経済と市場に重大な影響を及ぼすことが予想されます。ドナルド・トランプ次期大統領は、選挙期間中、2017年減税・雇用法の延長、国内生産メーカーの法人税率引き下げ、グリーンエネルギー税額控除の廃止などの成長促進政策を提唱してきました。中でも力を入れたのが、輸入品に対する高関税の賦課です。議会は共和党が過半数議席を占めており、大幅な政策変更が予想されます。減税、広範な規制緩和、貿易障壁の強化というトランプ氏の政策ミックスは、マクロ経済にさまざまな、且つ重大な影響を及ぼすことが予想されます。

リスク資産、高金利、関税リスク。リスク資産は選挙結果に対し、かなりポジティブに反応しました。高成長への期待や、新政権がさらなる財政支出に踏み切った場合の潜在的なインフレ・リスクの高まりなどを投資家が織り込み始めたことがその一因です。総じて、第2次トランプ政権は株式市場に有利となるマクロ環境を促進すると同時に、高金利の長期化をもたらすものと考えます。米ドルについては、今後かなりの上昇が予想されます。一方リスクとしては、関税引き上げの見通しが世界のリスク・センチメントに対する主な悪材料となるでしょう。関税に関しては、トランプ氏が次期商務長官に指名したハワード・ルトニック氏と、通商代表部代表に指名したジェイミソン・グリア氏が指揮を取りますが、グリア氏は米中間の戦略的デカップリング(分断)を提唱している人物です。関税の拡大はインフレ率上昇の引き金になりかねず、また米国の生産者は貿易相手国から報復関税を課される可能性があり、経済に負の循環が生じます。トランプ次期大統領の税制計画は、すでに膨張している財政赤字を今後10年間で緩やかに3兆米ドル膨らませると予想されています。ただし、大規模な規制緩和、潜在的な関税収入、小さな政府化観測が、その負の影響を補う可能性があります。

勝者と敗者。新体制の下では、エネルギー企業、特に化石燃料メーカーに対する規制圧力が後退する可能性が高いと考えます。自動車業界、特にピックアップ・トラック販売への依存度の高い米国自動車メーカーでは、電気自動車(EV)義務化の緩和による恩恵が期待されますが、貿易摩擦は米国車の生産工程の一部を成すメキシコやカナダの事業に逆風となる可能性があります。金融業界は、規制緩和と資本市場の活発化の恩恵を受ける位置づけにあります。

    検討事項 

  • 中小型株式は関税の影響を受けにくく、税制改革や規制緩和の恩恵が期待されます。
  • 米国株式はトランプ大統領の政策ミックスによる恩恵を非米国株式よりも大きく受ける可能性があります。

 


企業の利益率は引き続き堅調

古い理論を見直す時です。利益率の平均回帰の理論によれば、ある産業が極めて高い収益を達成すると、膨大なリターンを得ようと新たな企業が参入し、競争の結果、利益が低下していきます。逆に収益性の低い産業では、市場から企業が撤退し、競争が緩和される結果、利益率が向上します。利益率はわずかな変化でも企業収益を大きく変化させうるため、あらゆるビジネスにとって極めて重要です。しかし、何が変化したのか投資家にはわからないまま、米国企業の利益率はここ数年高止まりしています。

構造的なコスト低下。米国企業の利益率は過去最高に近く、懸念はありながらも、高水準を維持できたのには十分な理由があります。第1に、2020年から2022年にかけて金利がゼロ近辺であった当時、多くの企業が負債の借り換えを行うことで債務返済コストを全体的に引き下げ、償還期限を先伸ばししました。このメリットは債務の再編を行わない限り、債務が満期を迎えるまで続きます。第2に、2017年減税・雇用法を受けて法人税率が21%に引き下げられたことで、多くの企業の税率が一時的に低下し、その恩恵が直接企業利益に及びました。これは企業の損益計算書の構造的な変化であり、第2次トランプ政権下では税率がさらに引き下げられる可能性があります。第3に、過去4年間で巨額の財政刺激策が、政府による企業支援策を通じて直接的に、また消費刺激策を通じて間接的に、経済に投入されました。新政権下ではさらなる財政刺激策の実施が期待されます。

生産性ショックがもたらす好影響。人工知能(AI)の応用や量子コンピューティングのブレークスルーなど、テクノロジーは新たな時代の幕開けを迎えています。多くの事務仕事は、膨大な作業処理能力を持ち拡張も容易なAIに取って代わられるか、大幅に縮小されるでしょう。これはあらゆる産業の企業に恩恵をもたらす可能性が高く、製造業もスマート・マニュファクチャリングのブレークスルーによって生産の遅れを軽減することが可能です。機械が故障する前に交換部品が必要であることを教えてくれるようになれば、効率性は飛躍的に高まり、その結果、コスト削減と利益率の向上が期待できます。

銘柄選択は依然として必要。個々の企業レベルの利益率は、その企業の事業戦略、経営陣の手腕、業界における地位などの長所をベースに、企業ごとに異なります。市場はバリュエーションの上昇という形で将来の利益率の上昇を織り込んでいるかもしれません。従って、利益率が全体的に高い水準で推移するとしても、やはり銘柄選択が常に最重要であることに変わりはありません。

    検討事項 

  • 企業の利益率を企業財務の構造的変化から捉えてみると、持続的な上昇を示唆していると考えられます。
  • 株式市場はバリュエーションの上昇という形で将来の利益率の上昇を織り込んでいるかもしれませんが、投資にあたっては利益率の上昇に惑わされないよう注意が必要です。
  • 利益率が全体的に高い水準で推移するとしても、やはり銘柄選択が重要です。

 


経済の過熱はFRBの利上げ再開を余儀なくさせる

ノーランディング・リスクに要注意。米国経済のこの1年間のコンセンサス・シナリオはソフトランディングでした。しかし、新たな筋道が浮上しつつあります。顕著な景気後退を伴わずに経済成長が再加速するというノーランディング・シナリオです。このシナリオは、成長促進派と目されるトランプ新政権の経済計画が明らかになるに伴い、現実味を帯びてきているようです。成長が再加速することで経済が過熱し、インフレが再燃した場合、FRBは利上げ再開を迫られる可能性があります。

成長期待の好循環。底堅い労働市場、生産性の向上、堅調な個人消費を背景に、ノーランディングの確率が高まっています。新規雇用が継続的に発生し、失業率は過去最低近辺にあるなど、労働市場は堅調に推移しています。従業員1人当たりの生産量で測定される生産性は、新規事業の創出と新技術の採用もあって2020年以降大幅に向上しています。この生産性の急上昇は、多くの米国民の賃金上昇と生活水準の向上に寄与しています。さらに、労働市場の活況と賃金の上昇が個人消費に拍車をかけています。これは、力強い雇用の増加が生産性を向上させ、個人消費の増加につながり、それが経済成長を促進するという好循環を生み出します。経済成長の加速はさらなる雇用を創出し、この循環をさらに伸ばしていきますが、その一方で、インフレ圧力のリスクも増大させます。

しかし、経済の過熱はリスクであり、金融政策に影響します。堅調な経済成長と目標水準を上回るインフレが続けば、FRBは長期にわたって金利を抑えようとする可能性が大きくなります。通常、予想以上に堅調な経済成長と緩やかなインフレが重なると、企業収益を押し上げ、投資家の信頼感を高め、資産価格を押し上げる効果があります。逆に、長期金利の上昇見通しは賃金を圧迫し、資本コストを上昇させ、住宅・商業用不動産に負の影響を及ぼす可能性があります。また、FRBが利下げを行っても、すでに上昇している長期利回りにさらなる上昇圧力がかかります。ノーランディング・シナリオはリスク意欲を刺激する可能性があるものの、経済を過熱させ、インフレ率の上昇や実質投資リターンの低下を招く恐れもあると認識しておくことが極めて重要です。ノーランディング・シナリオは富を生み出す機会をもたらす一方で、投資家による慎重なリスク管理が必要となります。

    検討事項 

  • ノーランディング・シナリオでは、景気に対するFRBの反応や投資家自身のリスク資産への対応が多様化します。
  • 高金利がさらに長期化する環境下では、工業や金融サービスなど、配当利回りの高いバリュー・セクターを検討するのが賢明です。
  • 債券では、社債市場のスプレッドがタイトであることから、長期よりも中立ないし短期のデュレーションを選好し、クオリティの高い銘柄を選好します。

 


行き詰まる中国経済

中国には依然として激しい構造的逆風が吹きつけています。危機的状況にある不動産セクターの不良債権及び債務不履行問題、地方政府の債務問題、デフレリスクの高まり、工業セクターの体系的な過剰生産能力、少子高齢化など、中国経済は無数の課題を抱えています。加えて地政学的リスクが高まっているほか、米国と欧州の関税賦課の脅威が再燃しており、世界貿易における中国の位置づけはさらなる見直しを迫られています。加えて地方政府は、インフラ計画や都市開発計画向けに地方融資平台(LGFV)などオフバランス手法を通じて借り入れた過剰債務により、財政が深刻な打撃を受けています。経済成長面では、内需と個人消費に構造的な逆風が吹いています。中国の成長モデルがより持続可能な消費主導型経済へと移行するためには、有力な中間層の台頭と強固な社会セーフティネットが成功の鍵とされてきました。しかし、その進捗は緩慢で、少子高齢化の深刻化により、達成はさらに困難になるかもしれません。中国人の年齢の中央値は現在40歳を超えており、米国の38歳、インドの29歳と比べて高齢化が進んでいます。一方、弱いインフレ、さらにはデフレがますます定着しつつあり、家計や企業のバランスシートに重くのしかかっています。

こうした課題を認識し、中国政府は広範な政策パッケージで経済の活性化を図っています。2024年11月には10兆元(約1.4兆米ドル)規模の地方債務対策を発表しましたが、直接的な刺激には欠け、期待に届きませんでした。3月に開催される全国人民代表大会(全人代)では財政計画の詳細が発表される見込みであり、注目を要します。さらなる政策支援によってこうした構造的な逆風に対処できるか、政策の規模、時期、調整、効果を注視しています。財政政策は地方政府レベルで実施されるのが最も効果的ですが、その地方政府は財政面の制約が最も深刻です。

総じて、中国経済については懐疑的な見方を維持しているものの、選別的な投資機会は見出せると考えています。構造改革の進展は非常に緩慢であることから、セクターの選別が鍵となると我々は考えます。今後の戦略としては、財政刺激策の恩恵が期待されるセクターに注目することが賢明です。食品やアルコール飲料、オンラインゲームや通信などの消費財はいずれも他国からの関税の脅威にさらされる可能性が低いことから、注目に値するセクターであると考えます。

    検討事項 

  • 3月の全人代前後を含め、政府の政策発表を注視します。
  • 潜在的な貿易保護措置にさらされる資産に対する投資スタンスを確定させます。
  • 財政刺激策の恩恵を直接的に受ける可能性のあるセクターや企業。

 


大いなる二極化

世界のマクロ情勢はまちまち。2025年は経済の二極化がさらに進みそうです。米国では、底堅い消費、堅調な企業業績、新大統領の下で施行見込みの減税の影響により、経済は力強い成長軌道を維持する見込みです。他方、ドイツ、フランス、中国といった国々は、政局不安、デフレリスク、製造業不況といった大きな逆風を受けています。インフレ懸念が概ね一段落したことから、今後、成長見通しが中央銀行の政策決定に果たす役割が大きくなると予想します。

各国金融政策に乖離の兆候。世界の中央銀行は、ごく一部の国を除いて今後も緩和モードを維持すると予想されますが、利下げの規模やペースは国によってかなり異なると思われます。言い換えれば、緩和政策の乖離という新たな領域に入ったということです。FRBなど一部の中央銀行は政策金利をせいぜい中立水準(経済が完全雇用と安定したインフレ下にあり、両者のバランスが保たれる金利)に戻そうとしている一方、欧州中央銀行などは、中立金利をはるかに超える緩和を検討し、大幅な金融緩和を推進する可能性があります。

グローバル債券市場もアクティブ・マネジャーの手腕が試される環境。各国の金融政策と経済成長が乖離している状況を勘案すると、2025年は市場の幾分かの変調に伴いレラティブバリューの獲得機会が発生すると予想します。米国のマクロ環境が予想通り堅調を維持すれば、米国の長期デュレーション・ポジションはやや不利になるでしょう。対照的に、ユーロ圏のように成長見通しが弱く、中央銀行の追加的政策対応が予想される地域については、デュレーションを長めとする戦略が効果的な可能性があります。一方、エマージング市場でも、通貨安と米国の高金利の影響により、中央銀行が緩和サイクルの減速を迫られる可能性があります。エマージング諸国間でもファンダメンタルズが異なるため、国・地域をアクティブに選択する運用においてはソブリン債にアルファ創出の機会があるかもしれません。最後に、金融政策の乖離はヘッジコストの見通しにも大きく影響する可能性がありますが、それは投資家によって障壁とも機会ともなり得ます。マクロ動向、マクロ政策、マクロリスクが投資成果に大きな役割を果たす状況下、当面トップダウンの投資判断が重要になると予想します。

    検討事項 

  • グローバル債券のエクスポージャーを増やすことで、世界的な変調に対応できるかもしれません。
  • 現在の欧州など、経済成長とインフレが大きく減速している地域のデュレーションをオーバーウェイトとします。
  • ヘッジコストが低減する機会を捉えてポートフォリオの利回りを高めます。

 


画期的なライフスタイル医薬品:GLP-1受容体作動薬

医薬品分野における新たなブレークスルーになるか?浄水インフラや抗生物質のような医薬品など、公衆衛生の進歩は、かつて世界中の人々の健康を蝕んでいた病気の影響を軽減させてきました。こうした技術革新は平均寿命を延ばし、生産性を向上させ、生活水準を世界的に引き上げました。今日、肥満は多くの疾病の合併症や、がんや心臓病など多くの疾病の主要な原因として、医療における大きな課題となっています。GLP-1受容体作動薬は当初2型糖尿病治療薬として創製されましたが、体重減少を促進する効果が実証されており、人々の生活と経済の双方に好影響を与える21世紀初の開発医薬品となることが期待されています。

変革の影響はヘルスケアにとどまらず。GLP-1受容体作動薬の急速な普及は変革をもたらす可能性を秘めており、すでに当分野の大手医薬品メーカーの収益拡大に大きく貢献しています。各社は製造能力を拡大して旺盛な需要に対応しています。医療機器メーカーや医薬品物流に携わる企業も、需要拡大の恩恵を受ける位置づけにあります。減量治療が普及すれば、医療、フィットネス、食品・飲料、衣料品、資産管理、さらには運輸など、多くの分野や業界に影響が及ぶでしょう。GLP-1受容体作動薬を減量に使用することで全体的なカロリー摂取量が削減され、その結果として消費傾向に変化が起き、ファーストフード需要が後退するかもしれません。医療費の減少は消費パターンを変化させる可能性があります。痩せるとサイズの小さな服への買い替え需要が発生するため、衣料品需要が増大する可能性があります。寿命が延びれば、介護施設や資産管理サービスのニーズが高まる可能性もあります。総じて経済生産性が恩恵を受ける可能性があります。ただし、こうした医薬品の開発と普及は現在進行中であり、創造的破壊と考えられるあらゆる技術/発見にも言えることですが、長期的な勝者を見極め、そうした銘柄を保有し続ける確信を持つには、徹底したファンダメンタルズの調査、知的好奇心、投資規律が必要です。

    検討事項 

  • GLP-1受容体作動薬は長寿命、労働者の生産性向上、経済成長をもたらす、現代のヘルスケア問題への答えとなるかもしれません。
  • GLP-1受容体作動薬の急速な普及によって、医薬品メーカー以外にも利益や不利益を被る可能性のあるセクター/産業が生まれると考えられ、両者の見極めが重要です。

 

 

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