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AIの転換期-半導体セクターへの理解を深める

本稿では、半導体セクターにおける課題と投資機会や、AIのハイプ・サイクル(社会的位置付け)に捉われることなくそれぞれの企業をバリュエーションに基づいて理解することが重要な理由をご説明します。

執筆者

Vishal Hindocha
サステナビリティ・ストラテジー グローバル・ヘッド

Genevieve Gilroy
株式リサーチ・アナリスト

AIは半導体セクターの企業に広く影響を与える

人工知能(AI)の急速な台頭に対し、クラウドサービスプロバイダーから企業、そして消費者からの関心が爆発的に高まっています。投資家は長期的な影響を見極めている段階です。MFSのグローバル・テクノロジー・セクター・チームは、AIが様々なビジネスモデルにおいてどのような意味を持つか、企業にどのような影響を与えるか(例えば、ソフトウェア業界のビジネスモデルにとって破壊的か建設的かなど)を調査しています。

チップメーカー、データセンター、ソフトウェアメーカーなど、半導体セクターの多くの企業がトレーニングされた大規模言語モデルの普及の恩恵を受けています。MFSでは、長期的にAIは半導体企業にとってプラスになると考えており、市場でこの点が過小評価されている企業を探しています。販売数、価格、市場シェア、粗利益の観点から得られる答えは様々です。また、既存のプレイヤーに対抗する新たな競合企業も出現するでしょう。それぞれの企業をバリュエーションに基づいて理解することで、AIのハイプ・サイクル(社会的位置付け)に捉われることなく、投資機会とリスクを明らかにすることができると考えています。

地政学的緊張は企業に影響を与えるが、サプライチェーンは相互に深く結びついている

脱グローバル化のリスクは、ここ数年、MFSのグローバルセクターチームが最も注視している分野です。サプライチェーンという観点では、半導体セクターは最もグローバル化された産業の一つです。半導体設計会社は米国に集中し、半導体製造装置メーカーは米国、オランダ、日本を拠点としています。また、半導体メーカーの大部分は台湾の企業で、製造に使用される化学物質は世界中から供給されています。このようにグローバル化が進んでいるのは、半導体セクターにおいては、製造装置の設計やプロセス技術のような小規模でニッチな事業が適しているためです。

半導体サプライチェーンは、特化型のニッチなビジネスモデルによって多様でありながらも相互に関連し合っているため、企業がこのシステムから離脱することを難しくしています。投資家として、企業の財務諸表を分析し、地政学的な緊張が販売数や市場シェアなどの指標に与える影響を理解する必要があります。また、一つの場所や地域で行われている製造の割合や拠点の分散化にかかるコスト、そして適切に分散させるために他地域で十分な生産能力があるかどうかも把握する必要があります。より先進的な技術を使用している企業は、旧型のチップを使用している企業よりも生産を分散させることは困難です。MFSは企業と継続的に対話を行い、各企業の販売数、価格、利益率、設備投資に対する潜在的な影響やポートフォリオにおけるエクスポージャーの評価を行っています。

サステナビリティとビジネスモデルの両面で、エネルギーが鍵

エネルギーは半導体関連企業にとって必要不可欠なものです。例えば、大規模言語モデルの開発を行うクラウドサービスプロバイダーは、エネルギー使用量の制約を受けており、エネルギー消費がサステナビリティの観点からでの焦点となると同時に、ビジネスモデルの観点からも極めて重要です。その影響の典型例が、Nvidiaのチップへの需要増加です。NvidiaのGPU(画像処理半導体)は単一のワークロードやプロセスを高速化し、CPU(中央演算処理装置)よりもエネルギー使用量が少なく済むため、従来のCPUよりも強力かつ効率的です。

半導体企業はエネルギーに着目し、その使用量削減に努め、コンピュータシステムを通じてエネルギーフローを効率的に管理しています。MFSの運用プロセスでは、エネルギーについてサステナビリティとビジネスモデルの両面で評価を行っています。

 

 

MFSは、発行体との対話において、ファンダメンタルズ分析やエンゲージメントに環境、社会、ガバナンス(ESG)要因を組み入れる場合があります。当レポートでの例は、MFSが一部の発行体の分析または発行体との対話において、ESG要素を組み込んだケースを例示したものですが、すべての状況または個別の投資またはエンゲージメントにおいて成果をもたらされることを保証するものではありません。エンゲージメントは通常、継続的かつ長期的な一連のコミュニケーションで構成されますが、これらのエンゲージメントが必ずしも発行体のESG関連の取り組みに変化をもたらすとは限りません。発行体の状況は様々な要因に基づいており、当レポートで示されているような投資やエンゲージメントの成果は、MFSの分析や活動とは無関係である可能性があります。MFSがESG要因を投資分析やエンゲージメントにどの程度組み入れるかは、戦略、商品、資産クラスによって異なり、また、時間の経過とともに変化する可能性があります。従って、当レポートで示されている例は、いかなるポートフォリオの運用に用いられるESG要因を代表するものではありません。当レポートで示されている見解および個別銘柄を含む情報は、投資助言、銘柄推奨あるいはその他MFSのいずれかの運用商品のトレーディング意図を表明するものとして依拠すべきでありません。

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