MFS議決権行使に関する方針および手続き
(MFS議決権行使ガイドライン)
2024年1月1日改訂
MFSの企業としての存在意義は、「ご資産を責任を持って運用し、価値を創造すること」です。お客様の長期的、経済的利益の最大化に貢献するため、徹底したファンダメンタルリサーチ、リスク管理、エンゲージメントをはじめとしたスチュワードシップ活動を通じ、長期的に良好なリスク調整後リターンの創出を目指します。議決権行使は、この運用プロセスのなかで重要な役割を果たします。企業の株主として、議決権行使に関連するテーマについて発行体とエンゲージメントを行い、思慮深く議決権を行使することは、長期的な株主資産の保護と増大につながると考えます。また、環境、社会、ガバナンス(ESG)に関する課題は、企業の長期的な価値に影響を与えると考えることから、お客様の長期的な経済的利益にとって最善と考える方法で議決権を行使するという受託者としての責務の観点からESG課題を検討します。
MFSおよびそのグループ会社(以下、総称して「MFS」といいます。)は、株主議決権を持つお客様に帰属する証券について、「MFS議決権行使に関する方針および手続き」(以下、「本方針および手続き」といいます。)を定め、お客様に代わり議決権を行使します。なお、本方針および手続きで「お客様」と表記する場合には、MFSが運用する合同運用ファンド(以下、総称して「MFSファンド」といいます。)も含みます。
MFSは、議決権行使に係る指図を一任されるお客様の長期的な経済的利益を最大化することを目指し議決権行使に関する判断を行います。MFSファンドの販売会社や機関投資家のお客様との関係を背景とする利益を含め、MFS自身の利益や投資先企業の経営陣などの利益を優先することはありません。本方針および手続きは、特定の議案に対する基本的な判断基準に加え、お客様に代わって議決権を行使する際に発生する可能性がある重大な利益相反を監督する手法について定めています。
1. 複数のポートフォリオに一貫した方針を適用:複数のポートフォリオで同一発行体の証券を保有している場合、同じ議案について原則として一貫した方針で議決権を行使します。ただし、お客様自身の口座において議決権行使に関する明確な指図を受けた場合、運用チームが異なる議決権行使の指図がお客様の長期的な経済的利益に資すると判断した場合など、特定の状況下においてはポートフォリオ毎に異なる判断を行う場合があります。
2. 株主総会議案に対する一貫した判断基準:すべての株主総会において、類似した議案については一貫した判断基準に基づき行使判断を行います。ただし、企業の合併および買収に関する株主提案といった議案については、発行体や提案に関連する様々な事象を勘案して個別に判断を行うため、類似した提案でも株主総会毎に異なる行使判断を行う場合があります。また、お客様にとって最善となる長期的、経済的利益につながるよう議決権を行使するという目的に合致する場合、MFSは特定の議案に関して本方針および手続きに定めた内容と異なる判断を行う場合があります。
3. 企業固有の状況およびエンゲージメントによる意見交換の検討:議決権行使に係る判断の際には、各企業固有の状況を考慮します。重要な議案、複雑な議案、特殊な議案に関しては、行使判断を行う前に企業とエンゲージメントを行い、そこで得た情報を判断材料とします。特定の課題について、エンゲージメントを経ても十分な進展が見られない場合、MFSの懸念事項を示すとともに、議決権行使に係る指図を一任されるお客様の長期的な経済的利益のためにポジティブな変化を促すことを目的に、会社提案に対して反対する場合があります。
4. 発行体の意思決定プロセスを支援する明確な行使判断:発行体の意思決定の改善を支援するため、各議案に対して賛成ないし反対の明確な行使判断をするよう努めます。ただし、賛否の行使をすることが、お客様の長期的な経済的利益につながらないと判断した場合は、特殊なケースとして棄権する場合があります。
5. 議決権行使のプロセスおよび行使基準の透明性:本方針および手続きをウェブサイトにて公開しています。また、議案に関する見解や行使判断の根拠を企業に明確に伝えるべきと判断した場合には、年次総会に先立ち、企業と行使判断についてコミュニケーションの機会を設けます。議決権行使に関するデータは、ご要望に応じてお客様に報告するとともに、四半期および年次ベースでウェブサイトにて公開しています。議決権行使に関する情報開示については、後述の「F.レポーティング」をご参照ください。
本項目は、株主議決権行使における各種議案に関するMFSの基本的な行使判断基準を定めたものです。以下の基準は、あらゆる議案を網羅しているわけではなく、以下の規定に含まれない議案についても議決権を行使することがあります。その場合、MFSはお客様にとって長期的、経済的利益に資するよう判断するという本方針および手続きの基本的な考え方に基づいて行使判断を行います。
ここに示される基準は、主にMFSが投資する資産規模が大きな市場および企業に適用するものです。被支配企業や市場規模の小さい市場のように、現地のガバナンス慣行を考慮し、本基準に明記されていない例外を適用する必要のある市場や企業もあります。また、データや情報開示が限定的であることから、本基準が適用できない場合もあります。
通常、以下のような懸念事項がない場合、無投票もしくは疑義のない取締役の選任/解任に賛成します。
優れたガバナンスの実現には、取締役会、会社業務執行、およびその双方で「独立性(MFS独自の基準による1)」が認められる取締役が、取締役会の少なくとも単純過半数を占めるべきであると考えます。独立性が不十分であることが特定され、取締役会または業務執行の有効性に懸念があると判断した場合、非独立取締役候補者またはその他の関連取締役(取締役会会長、指名委員会委員長など)の選任に反対する場合があります。
取締役候補者が選任された結果、取締役会の独立取締役の数が過半数を下回ることになる場合、原則として当該候補者に反対します。ただし、取締役会に株主以外の代表者を置く必要のある企業、政府系企業、一部の市場の企業については、独立性の低さを容認できるガバナンス構造や市場もあります。こうした場合は、独立取締役の数が3分の1以上であること、もしくは株主代表の少なくとも半数が独立取締役であることが求められると考え、取締役候補者が選任された結果、これらの基準が満たされない場合、当該候補者の選任に反対します。また、特定の状況下において、他の関連する取締役の選任に反対する場合があります。例えば、日本については、取締役会の独立取締役の数が3分の1を下回る場合において、原則として最上位の取締役の選任に反対します。
また、優れたガバナンスの実現のために、監査委員会、指名委員会、報酬委員会などの主要な委員会が、すべて「独立」取締役で構成されているべきと考えます。米国およびカナダの企業については、監査委員会、報酬委員会、指名委員会のいずれかが完全に独立しない要因になる非独立取締役候補の選任に原則として反対します。オーストラリア、ベネルクス諸国、アイルランド、ニュージーランド、スイス、および英国の企業の場合、監査委員会または報酬委員会の独立性が損なわれるような非独立取締役の選任に原則として反対します。韓国の企業に関しては、監査委員会が完全に独立しない要因となる非独立取締役候補の選任に原則として反対します。他の市場においては、委員会の過半数または監査委員会の委員長が独立していない場合、非独立取締役候補または他の関連する取締役の選任に反対します。しかし、一部の市場、政府系企業、株主以外の代表者がいる取締役会などといったガバナンス構造が特殊な場合は、これら主要委員会の独立性が低いことを容認する場合もあります。
MFSでは、優れたガバナンスの実現には、少なくとも取締役会の単純過半数が独立取締役であること、主要な委員会がすべて独立取締役で構成されることが必要であると考えます。一部の市場の企業に対しては、取締役会の独立性が低いことを容認していますが、長期的には、取締役会の独立性に関する基準をすべての市場に適用させていく方針です。
取締役会における在任期間が20年を超える筆頭独立取締役がいる取締役会については、原則としてその役割の変更を促すために企業とエンゲージメントを行います。刷新の進捗が見られない場合や取締役会が検討していない場合、早急な取締役の見直しが必要であると判断した場合は、長期在任の筆頭独立取締役に反対することがあります。
取締役会のすべての取締役は、あらゆる状況下において、その責務を果たし、効果的な監督を行うために十分な時間と注意を払う必要があります。
取締役候補者が、その責務を遂行するための十分な時間と注意を払う能力を有しない場合や、外部の活動による時間的制約があると判断した場合は、その取締役の選任に反対する場合があります。
以下の場合、原則として取締役候補者の選任に反対します。
なお、以下の場合は例外的に対応を検討します。
(i) 上記の基準を超えて兼任する上場会社の取締役から、妥当なスケジュールで退任する計画が示されている場合
(ii) 関連会社(子会社など)の取締役兼任、または準拠法で認められた投資会社で複数の会社の取締役を兼任していることだけで、上記の兼任基準を超えている場合
(iii) エンゲージメントを経て、外部企業の役員を兼務することが、取締役としての責務を遂行するため十分な時間と注意を払う能力に悪影響を及ぼすと判断した場合
多様な視点を持つバランスのとれた取締役会が、健全なコーポレートガバナンス実現のための基盤であり、その多様性は一人または一部のメンバーだけで体現するものでなく、取締役全体に行き渡ることが最善であると考えます。MFSは、多様な視点、より強力な監督とガバナンスにつながる多様性の広がりについて、総合的に捉えます。
ジェンダーの多様性はそのような事例の一つであり、十分な情報開示とデータにより、具体的な要請や議決権行使の基準を方向付けることができるものです。
MFSは、すべての市場の企業一律に、取締役の3分の1以上が女性で占められることを望んでおり、将来的には議決権の行使基準を厳格化していく予定です。
現時点において、取締役会に占める女性比率が低い(取得可能なデータを参照)場合、指名委員会やガバナンス委員会の委員長、またはその他の関連性の高い役職の選任に反対します。具体的な基準は以下の通りです。
米国S&P500指数および英国FTSE100総合株価指数に採用されている企業については、LGBTQ+コミュニティおよび民族的・人種的少数者グループに属する取締役を少なくとも1名選任できなかった場合、指名委員会の委員長の選任に反対します。
MFSは、企業がこれらの目標に向けて取組みを進めていると判断した場合、または、これらの目標を達成できなかった明確で合理的な理由を企業から提示された場合には、本基準の例外として検討することがあります。
その他の市場については、取締役会の多様性向上を促すエンゲージメントを行いつつ、企業の取組みに進展が見られない場合、取締役選任に反対する場合があります。
MFSでは、取締役会の構成人数は取締役会が効率的かつ効果的に機能する能力に影響を及ぼすと考えます。取締役会の構成人数については、個別に評価しますが、取締役会の構成人数が16名を超える場合には指名委員会とガバナンス委員会の委員長の選任に反対します。例外として、同数の従業員代表の取締役会への参画が義務付けられている企業については、最大20名まで容認します。
以下のような場合、取締役候補の全員および一部の選任に反対する場合があります。
市場慣行として広く受け入れられる場合を除き、取締役会の議長がMFSの基準により「独立」していないと判断した場合、筆頭独立取締役としての職責を遂行していない場合、執行役員が主要な委員会のメンバーであると判断した場合、指名委員会のすべてまたは一部の候補者の選任に反対する場合があります。
その年の改選候補者が示されない場合、MFSは取締役の解任についても同様に反対する場合があります。取締役の選任が一括して行われる場合、ある取締役候補者に懸念がある一方、その取締役に関連した投票権がない場合、取締役候補者全員に反対することがあります。
株主は、企業戦略、資本配分、その他の問題について、経営陣に異なる選択を求めることがあります。このような株主は、経営陣が提案する取締役候補者とは異なる候補者を提案することもありますが、こうした場合、MFSは会社経営陣と不満を持つ株主の両者の実績と当該時点で推奨する取組みを勘案し、議案毎に分析を行います。MFSでは、お客様にとって最も長期的、経済的利益にかなうと思われる取締役候補者を支持します。
取締役の選任を投票議決権の過半数の賛成を可決要件とすること、および取締役選任に相対的に多数を得たものが当選するという賛否数を確定しない基準の廃止に関して、合理性が認められる議案に原則として賛成します。ただし、取締役候補者が取締役会の定数を上回り、有能な取締役候補者が立候補をためらう可能性がある競争型選挙の場合や、相対的に多数を得たものが当選するという基準を除外することが議案に盛り込まれていることを条件とします。
発行体(一部クローズド・エンド型ファンドを除く)の取締役会の期差任期制度(取締役の改選時期をずらし、1回の改選ですべての取締役を変更することができないため、経営結果と説明責任追及の機会を失う恐れがある)を廃止する議案に原則として賛成します。また、発行体(同上)の取締役会に期差任期制を導入する議案に原則として反対します。
臨時株主総会の招集する条件として、多くの企業は株式保有比率を15%としていますが、MFSでは、企業と株主の双方の利益の適切なバランスの点から15-25%であると考えます。
MFSは通常、これらの招集権を設定する会社提案に賛成するとともに、既存の権利を上記の基準で調整する株主提案を支持します。またMFSは、既存の権利がなく、上記の基準の範囲内で会社側が提示した議決権行使の基準がない場合、10%以上の基準で権利を設定する株主提案に賛成することがあります。
MFSは、株主が臨時株主総会を招集する権利を上記どちらの基準も有していない場合、過半数の書面による同意によって行動する権利を設定する株主提案に賛成します。
取締役会には、独立取締役の意見を反映させ、取締役会の議題を設定する責任を負う、ある種の独立したリーダーシップが求められ、これは多くの場合、独立した取締役会の会長、および筆頭独立取締役が担うべき役割であると考えます。MFSは、取締役会のリーダーシップ構造のあり方について、個別に検討します。
米国の株主総会において、株主が特定の取締役候補者の選任を株主総会議案として提案する権利(プロキシーアクセス)は、コーポレートガバナンスに資するものである一方、その利点は株主による権限乱用の危険性を考慮した上で活用されるべきであると考えます。そのため、米国企業において、3%以上の発行株式を3年以上継続して保有することを提案の条件とする議案に原則として賛成します。また、適用される株主には少なくとも2名の取締役候補を指名できるようにすべきであると考えます。また、取締役候補の再提案回数に過度な制限を設け、プロキシーアクセスが実行不可能になるような内規を定めているような企業には留意するべきであると考えます。
経営陣を株主による訴訟から保護する議案を含め、株式の資本増価を阻害するような議案に反対します。この種の議案には、「ポイズンピル(既存株主に事前に新株予約権を付与し、敵対的買収を困難にすること)」や「サメよけ(買収し難くなるような多くの規定を作っておくこと)」、「スーパーマジョリティ条項(株主総会における決議要件を非常に厳しくしておくこと)」などの敵対的買収防衛策が含まれます。MFSは、将来的な「ポイズンピル」の採用や、既存の「ポイズンピル」の継続については、個別に検討することがありますが、原則として企業買収対策には反対します。
企業が営業純損失の繰り延べを正当化するためのポイズンピルについては、会計および税務上の利点と将来の買収を妨げるリスクを比較検討し個別に検討します。また、市場価格や株式価値を大幅に下回る価格での買収など、株主にとって不利益になるような買収を防止するための議案についても個別に検討を行います。
経営陣と株主を隔離するようなガバナンス体制を禁じる議案には、原則として賛成します。また、既存の「ポイズンピル」を廃止する提案や将来において「ポイズンピル」を採用する際に株主の承認が必要となる議案には、原則として賛成します。
原則として、累積投票(各株主が有する株式1株につき、選任する取締役の数と同数の議決権を持つことを認める投票方法)を導入する議案には反対、累積投票を廃止する議案には賛成します。いずれの場合も、累積投票によって少数株主としてのMFSの意向が、お客様の利益につながるかどうかを検討します。
株主の1株当たりの議決権と経済的利益が比例しない議案、1株につき複数の議決権を有する議案には、原則として反対します。権利内容が異なる2種類以上の株式が発行されている場合や不公平な株主構造が認められた場合、1株1議決権になるまでの期間は、7年を超えない範囲でサンセット条項(一定期間毎に株主総会などで見直す仕組み)を設けることが望ましいと考えます。
別の州の法律に基づいて企業を再法人化する議案や企業再編に関する議案については、議案の本質的な目的と最終的な効果を検討して判断します。原則として、こうした会社提案には賛成しますが、議案内容がお客様にとって長期的、経済的利益にかなわないと判断される場合には、反対する場合もあります(例えば、買収またはその可能性を不適切に妨害する意図や効果が認められる場合など)。
議決権行使の時点ではその内容が不明であるような業務に関する議案については、原則として反対します。
株式発行には、多くの正当な理由があります。しかし、後述の「株式報酬制度」の項に記載の通り、ストックオプション制度(個別に、あるいは企業の他の制度と合わせたもの)が、既存の株主資本を大幅に希薄化する場合(目安として10-15%超の希薄化)は、原則として反対します。
経営陣が理由を明記しない普通株式、または優先株式(白紙委任)の発行を求める議案には、原則として反対します。これは、企業側から十分な説明を受けないで株式発行を認めることが、買収防止目的で利用される可能性があるためです。また、企業が求める承認の権限が過大である、または正当性がないと判断した場合、普通株式や優先株式の発行にかかる承認を求める議案に反対することがあります。このような場合、株式発行の承認期間と、そのような決定を求める当該企業の過去の経緯について考慮したうえで判断します。
株主が平等に参加できる自社株買い計画を策定する議案に、原則として賛成します。このような計画には、企業が自社株を公開市場で取得する場合や、企業が自己の株主に対して公開買い付けを行うことが含まれます。
合併、買収、企業資産の売却、株式や社債の発行など、株主の利益に影響を及ぼす可能性のある取引に関する議案ついては、個別に検討します。こうした場合、社内のリサーチや外部のサービスプロバイダーなど、様々な資料および情報を用いて分析を行います。
監査役の選任に原則として賛成します。ただし、一部の市場においては、監査役の独立性が十分保たれていない、十分な能力を有していない、または監査役の業務や見解に懸念があると判断した場合、監査役および監査委員会のメンバーの選任に反対する場合があります。その判断を示すため、非監査業務の報酬が監査役報酬全体に占める割合が40%を超え、それが継続している場合、行使判断に非監査業務の利用状況について評価する場合があります。
役員を惹きつけ、動機付けし、役職の継続を促すために、競争力のある報酬制度が必要であると考えます。そのため、長期的な企業価値の創造に向けて、株主の利益や満足度と整合性のある、以下のような報酬制度を求めます。
MFSでは、役員報酬に関する議案は個別に分析します。報酬慣行に関する分析は、通常2段階のプロセスを踏みます。まず社内のリサーチや外部のサービスプロバイダーの分析を用いて、懸念される報酬慣行を特定します。そのような報酬慣行が確認された場合、次に、関連する事実と状況に照らして報酬慣行を分析します。発行体の報酬慣行が、長期的価値を創出するように設計されておらず、お客様の長期的な経済的利益に合致していないと判断した場合、議案に反対します。発行体の報酬慣行がお客様の長期的な、経済的利益に合致しているかどうかを分析する際は、独自の社内リサーチ、発行体とのエンゲージメント、第三者サービスプロバイダーの調査など、様々な資料や情報を活用します。
MFSは、発行体の役員報酬に関する年次の勧告的決議を含む議案に原則として賛成します。
MFSは、役員報酬制度にESGのインセンティブを含めることに関する正式な議決権行使基準は定めていませんが、そのようなインセンティブが含まれる場合、以下のように検討します。
MFSは、社外取締役が現金および株式での報酬を受け取る場合は、業績連動型であるべきではないと考えます。
MFSは、株式報酬型ストックオプション制度および譲渡制限付株式報酬制度について、以下のような議案に反対することがあります。
MFSは、ストックオプション株式報酬制度の修正が定性的な変更によるもので、増資でない場合、ケースバイケースで検討し、議決権を行使します。
MFSは、付与済のストックオプションを新たなストックオプション、譲渡制限付株式、または現金と交換する議案については、合理的に交換価値に見合うものか、役員が交換に参加することがないことなど、一定の要因を考慮し、ケースバイケースで分析します。
MFSは、M&A議案に対する行使と同様に、特定の役員退職金や「ゴールデンパラシュート(敵対的買収防衛策のひとつ)」に対する諮問投票について評価します。役員退職金に関する諮問投票は、ケースバイケースで判断しますが、MFSがM&A議案に賛成しているかどうかにかかわらず、役員退職金に関する議案に反対する場合があります。
MFSは、従業員による自社株保有を促すための広範な従業員株式購入制度の導入に賛成します。ただし、この制度で購入する株式は、市場価格の85%以上の価格で取得し、過度の希薄化をもたらさないことが条件です。
MFSは、以下の場合、報酬委員会の候補者全員、またはその一部の選任に反対することがあります。
MFSは、報酬委員会が適度な柔軟性をもって役員報酬を決定するべきと考えることから、役員報酬に厳格な制限を設けようとする株主提案に、原則として反対します。
以下のような合理性が認められる株主提案には賛成する場合があります。
会社側が気候変動対策および移行計画を提案する場合、MFSは、賛否を決定するにあたり、その計画の長期的な取組みへの意欲のレベル、範囲、信頼性、透明性を評価します。企業が気候変動対策の経過報告書を株主に提出する議案については、計画の実施と進捗の裏付け、および透明性のレベルを評価して行使判断を行います。
環境および社会的なテーマに関する議案は、その多くが株主から提案されます。これらの提案は、同じテーマであっても、その範囲や求められる課題が企業毎に異なるため、多くはケースバイケースで評価する必要があります。
MFSは以下のような合理的と思われる議案に賛成します。
一方、過度にコストがかかる、制約が多い、不明確、負担が大きい、意図しない結果を招く可能性がある、具体的な成果につながりそうもない、あるいは、その問題が重要課題ではない、またはその行動が事業にとって優先されない、と判断した場合、その議案に反対します。また、株主が議案の意図する潜在的な機会とリスクを評価するのに十分な情報を会社が既に公表している場合、議案の要求が実施されている場合、または、エンゲージメントを通じてそれが実施されるとの確証を得た場合は、その議案に反対します。
いくつかの国や州政府では、環境、社会、ガバナンスの問題に関して、特定のお客様(米国の州年金基金など)の利益のためにどのように議決権を行使すべきかを規制しているケースがあり、そのような規制が及ぶ特定のお客様に対しては、他のお客様と異なる行使判断を行う場合があります。
本方針および手続きに関して、お客様からご意見をいただく場合があります。本方針および手続きを見直す際には、お客様からいただいたご意見についても慎重に検討を加え、独自の判断で適宜改定されます。
本方針および手続きに関連する業務は、法務部門、グローバル・インベストメント・クライアント・サポート部門および運用部門のシニアメンバーで構成される議決権行使委員会によって監督されます。なお、議決権行使委員会には、クライアント・リレーション、マーケティング、営業などを主な業務とする者は含まれません。 議決権行使委員会の主な業務は以下の通りです。
a. 本方針および手続きについて、少なくとも年1回見直しを行い、必要または望ましいと考えられる修正を提案します。
b. 以下のような場合、潜在的に重大な利益相反の可能性について判断します。
(i) MFSが、本方針および手続きの規定とは異なる判断をしようとする場合
(ii) 本方針および手続きが明確に規定していない議案について行使する場合
(iii) 取締役選任に関連して過剰な役員報酬問題について検討する場合
(iv) ポートフォリオ・マネジャーまたはアナリストに判断の助言を依頼する場合(M&Aに関する議案など)
c. 随時発生する特別な議案について検討します。
d. 議決権行使に関するエンゲージメントの優先順位と戦略を決定します。
なお、本方針および手続きに係る実務的な運営は、運用部門に属するスチュワードシップ・チームが行います。
本方針および手続きは、お客様の代理として議決権を行使する際に生じる可能性のある、MFSまたはその子会社の側での重大な利益相反の可能性に対処することを目的としています。そのような重大な利益相反の可能性が特定された場合、利益相反の潜在的な重大性を分析し、体系立てて文書化して記録します。そして、MFSは、お客様の長期的、経済的な利益のために最善であるという判断に基づいて株主議決権を行使します。議決権行使委員会は、このような重大な利益相反の可能性に関する監視および報告について責任を負います。
議決権行使委員会は、お客様の代理として議決権を行使する際に生じる可能性のある、MFSまたはその子会社の側での重大な利益相反を監視する役割を担います。MFSは、資産運用ビジネスに特化していることから、重大な利益相反が発生する可能性は低いと考えますが、すべての議決権行使をお客様の長期的な経済的利益のために行うことを確約するための予防策を定めています2。また社内規定では、MFSの全従業員に対し、個人の活動とお客様の活動との間の利益相反、および潜在的な利益相反を回避するよう求めています。もし従業員(運用担当者を含む)が、議決権行使の判断(個人のポートフォリオで保有する証券を含む)に関して、利益相反または潜在的な利益相反を認識した場合、その従業員は議決権行使のプロセスに参加できません。MFSまたはその子会社の従業員は、特定の議決権行使議案に関して、MFSの行使判断に不当に影響を与えようと試みた場合にも、議決権行使委員会に報告する必要があります。
本方針および手続きに従って議決権が行使される場合には、利益相反はないものとみなされます。MFSが、 (i)本方針および手続きの規定とは異なる判断をしようとする場合、(ii)本方針および手続きが明確に規定していない議案に議決権を行使する場合、(iii)過剰な役員報酬、顧問報酬、もしくは退職金の妥当性に懸念を持ち、検討する場合、(iv)M&Aに関する議案、企業の資産の売却または類似する取引などに関する「非標準的な議案」について、ポートフォリオ・マネジャーまたはアナリストに判断の助言を依頼する場合においては、議決権行使委員会は以下の手続きを取ります。
a. 発行体名または議案を提出する株主名(議決権行使に係る資料から特定される場合)を、現在の (i) MFSファンドの販売業者、および (ii) MFSの機関投資家の顧客リスト(以下、「MFS重要販売会社・顧客リスト」といいます。)と照合する。
b. 発行体名がMFS重要販売会社・顧客リストに掲載されていない場合は、重大な利益相反はないとみなし、議決権行使委員会が別途定めたとおり議決権を行使する。
c. 発行体名がMFS重要販売会社・顧客リストに掲載されている場合、議決権行使委員会に通知され、同委員会の各委員は(コンフリクト・オフィサーも参加の上で)、MFSの利益でなく、お客様の長期的、経済的利益に最もかなうようと考える形で議決権が行使されるよう、議案を慎重に審査する。
d. また、上記(c)において特定されたすべての潜在的な重大な利益相反について、議決権行使委員会は、発行者名、発行者とMFSの関係、議決権行使の議案の分析結果、予定されている行使判断、当該行使がMFSの企業として利益ではなく、お客様の長期的、経済的利益に最もかなうように行われたと判断した根拠を文書化し、当該文書の写しは、MFSコンフリクト・オフィサーに提出される。
議決権行使委員会のメンバーは、MFSのディストリビューション部門および機関投資家事業部門と協議の上、MFS重要販売会社・顧客リストの作成および維持運営の責任を担います。同リストは、必要に応じて定期的な見直しと更新が行われます。
MFSファンドの取締役を兼務する取締役候補者を評価する場合、議決権行使委員会は、投資先企業がMFS重要販売会社・顧客リストに掲載されているかどうかにかかわらず、上記(c)に記載する手続きに従います。その際、議決権行使委員会は、取締役候補者が立候補している会社の株主総会におけるすべての非標準的な議案について、当該の手続きを行います。
お客様が、Sun Life Financial, Inc.またはその関連会社(以下、総称して「Sun Life」といいます。)によって株主に提出された議案について投票権を有する場合、お客様の指示に従って、またはお客様の指示が得られない場合はInstitutional Shareholder Services, Inc.(ISS)の基本方針の推奨、または法令の要請に基づき、お客様に代わって議決権を行使します。同様に、MFSファンドの取締役が執行役員を務める公開企業が株主に提出する議案について、お客様が議決権を有する場合、お客様の指示に従って、あるいはお客様の指示が得られない場合はISSの推奨、または法令の要請に基づき、お客様に代わって議決権を行使します。
MFSファンドの目論見書に記載されている場合を除き、一部のMFSファンド(以下、「トップティアファンド」といいます。)が、他のMFSファンド(以下、「投資先ファンド」といいます。)を組み入れていることがあります。投資先ファンドが議決権を行使する場合、トップティアファンドが投資先ファンドの保有割合に応じた行使判断を行います。投資先ファンドに他の受益者がいない場合、トップティアファンドは、トップティアファンドの長期的な経済的利益にかなうと考える方法で議決権を行使します。お客様が、MFSが助言する集団投資型スキーム(MFSがポートフォリオを運営し、他の投資顧問会社が監督する投資ビークルを除く)を通じ、議案の議決権を有する場合、集団投資型スキームにおけるお客様の保有割合に応じて議決権を行使します。
本方針および手続きは MFSのウェブサイトで公開されており、MFS のお客様および投資先企業の双方が閲覧可能です。 本方針および手続きは、議決権行使委員会によって毎年見直されます。その際、お客様からいただいたご意見についても慎重に検討を加え、独自の判断によって適宜改定されます。
MFS は、自社および一部のお客様(MFS ファンドを含む)を代表して、独立した議決権行使助言業者と契約し、行使処理および記録管理など、様々な議決権行使関連の管理サービスを利用しています。MFSおよび MFS ファンドを含むお客様の議決権行使助言会社はInstitutional Shareholder Services Inc.(ISS)です。ただし、例外として、MFS Development Funds, LLCにおける議決権行使助言業者は、Glass, Lewis & Co.(グラス・ルイス)です(以下、ISSおよびグラス・ルイスを総称して「議決権行使助言会社」といいます。)。
議決権行使助言会社は、様々なカストディアンから直接または間接的に株主総会招集通知と投票用紙を受け取り、これらの資料をデータベースに記録し、MFSから同社のシステムに配信されたMFSファンドとお客様のポートフォリオの保有銘柄データを照合します。そして、発行会社の株式を保有するすべての口座のリストと、これらの口座が基準日に保有する株式数を同社が管理するリストと照合します。投票用紙が受領されていない場合には、議決権行使助言会社もしくはMFSが、お客様の口座を管理するカストディアンにその理由を聴取します。また、議決権行使担当者および議決権行使委員会は、議決権行使助言会社のプラットフォームを介して、開催予定のすべての株主総会の投票用紙および議案に関する情報の要約をオンラインで確認します。
MFSは、議決権行使助言会社から議案にかかる調査レポートや賛否の推奨を受け取っています。ただし、これらのレポートは、議案に関する資料、企業とのエンゲージメント、その他の第三者機関の調査やデータなどの情報と同じく、議決権行使にかかる分析における数多くの情報の1つに過ぎません。また、議決権行使助言会社から受け取る調査情報が客観的な正確性を持つこと、および議決権行使助言会社が重大な利益相反に対処していることを確かなものにするため、デューデリジェンスを実施しています。これには、議決権行使助言会社のスタッフの適正と資質、利益相反に関する方針と手続き、独立監査報告書の分析が含まれます。また、少なくとも年1回、議決権行使助言会社の議決権行使の方針と手続き、個社および同業者グループにおける具体的な手法について見直します。さらに、議決権行使助言会社から、利益相反の手続きにかかる違反または変更に関する報告も受けています。
株主議決権は、本方針および手続きに従って行使されます。本方針および手続きに関して特に裁量、または判断を必要としない議案については、MFSの事前の指示に基づいて、議決権行使助言会社が自動的に行使手続きを行います。ただし、議決権行使助言会社が、事前の指示に基づくとMFSが会社提案の議案に反対と想定する場合において、発行者が株主総会での行使期限前に余裕をもって議案に関する追加資料を提出し、MFSがそれを認識した場合、MFSはその情報を検討した上で行使判断を行います。特定の裁量や判断を必要とする議案については、MFS議決権行使委員会または業務担当者が検討して行使判断を行います。すべての議案の分析において、数多くの資料や情報を利用し、それには、発行者の議案およびその他の関連資料、MFS独自の社内調査および他の第三者機関(議決権行使助言会社の調査を含む)から提供される調査および推奨が含まれますが、これらに限定されることはありません。 また、議決権行使委員会または業務担当者は、議案の分析のために企業とエンゲージメントすることがあります。この他、独自の社内調査、議決権行使助言会社の調査、その他の第三者機関の調査ツールやベンダーを利用して、(i)取締役会が、過大または投資先企業の事業や株主との整合性に欠ける役員報酬プランを承認する可能性がある提案、(ii)さらなる検討を加えることが必要な環境、社会、ガバナンスに関する提案、(iii)企業が現地のガバナンスや報酬のベストプラクティスに準拠していない提案、などを特定します。議決権行使委員会は、本方針および手続きとの適合性を確認するために、適宜、行使結果を確認します。
特定の議案(例えば、M&A、委任状争奪戦、資本政策に関する事項など)について、スチュワードシップ・チームは、その企業のリサーチの責任者であるアナリスト、またはポートフォリオでその銘柄を保有するポートフォリオ・マネジャーに助言を求めます3。また同様に、ケースバイケースの分析が必要となる議案(例えば、過大な役員報酬問題や特定の株主提案など)についても、スチュワードシップ・チームはアナリストやポートフォリオ・マネジャーと協議します3。ただし、すべての議決権行使の意思決定について最終的な責任は、議決権行使委員会が負います。
最善を尽くした結果、お客様の長期的な経済的利益のために株主議決権を行使するという基本理念に合致すると判断した場合、MFSは本方針および手続きに優先する権利を留保します。このように本方針および手続きに優先して行使判断を行う場合は、定められた手順に従い、調査、文書化、報告が行われます。
また、MFSとの契約に基づき、議決権行使助言会社は、議決権行使委員会向けに各種のレポートを作成します。こうしたレポートは、MFSがお客様のために実施した株主議決権の行使内容やその他の情報とともにオンラインで確認、および監視できるようにしています。
議決権を有する株主を確定する「基準日」を設けている市場については、お客様が保有する株式のすべて(または一部)が株主総会前に売却されているかどうかにかかわらず、本方針および手続きに従ってすべての行使可能な株式の議決権を行使します。
一部のMFSファンドでは、セキュリティーズ・レンディング(証券貸付)を行うことがあります。MFSまたはその代理業者は、米国企業から株主総会の招集通知を適時に受け取った場合、総会の基準日前に貸付証券を回収し、MFSが該当する株主議決権を行使するよう努めます。しかし、貸付証券を適時に回収することができない場合があり、その場合、MFSはその株式の議決権を行使することができなくなります。MFSは、貸付証券を適時に回収できない場合、MFSファンドのファンドボードに報告します。一方、MFS は通常、議決権行使の資料、基準日、または議決権の確定日の事前通知が不十分で、MFS が自動的に、適時に株式を回収することができない市場があるため、米国以外の国で貸出中の証券については回収を行いません。したがって、当該証券の議決権は行使されません。ただし、対象となる当該証券に対して極めて重要な議案であると判断し、議決権を行使することが株主の長期的な経済的利益にかなうと判断する通知を適時に受けた場合、貸付中の株式を回収するよう試みます。
国の法令や商慣習により、企業やカストディアンが、株主総会が終了するまでの一定期間、議決権を行使する株式の売却を凍結することがあります(いわゆる、「シェアブロッキング」)。ブロッキングの期間は、企業が所在する国によって、株主総会の前後何日間か(例えば、1日、3日、5日)、あるいは企業が定めた日に始まることがあります。慣行は様々ですが、多くの国では、株主総会が休会になり、後日に延期された場合、ブロッキングの期間が長くなる場合があります。同様に、株主がブロッキング制限を前倒して解除できるかどうかについても、異なります(例えば、ある国では、株主総会の2日前までにブロッキングを解除できることもあれば、他の国では、ブロッキングの解除は発行者の証券代行業者の裁量に任されていることもあります)。このような制約を受けて株主議決権を行使することは、お客様の利益と、ポートフォリオが最良のタイミングで株式売却に対応できなくなることの影響についてバランスを図る必要が生じます。シェアブロッキングのある国や、一部のカストディアンがシェアブロッキングする可能性のある市場の企業では、一般的に、状況の変化に応じて株式を売却できないというデメリットのほうが、ありふれた議案に対する株主総会での議決権行使のメリットを上回ります。したがって、株式を売却できなくするデメリットを上回るような重大な議案でない限り、議決権を行使することはありません。
まれに、各国政府が経済制裁を発動することで、特定の企業や個人との取引を禁じられることがあります。これらの制裁措置を受けて、議決権の行使が禁じられることもあります。議決権を行使することが制裁措置に違反するものであると判断した場合、議決権を行使しません。
さらに一定の事情において、議決権関連資料の遅配、早すぎる行使期限の設定、代理権や株式の再登録要件、または通常と異なる議決権行使要件などといった議決権行使に関する市場固有の妨げにより、議決権行使が制限される場合があります。このような場合、MFSは本方針および手続きに基づき、可能な限りの方法を用いて議決権行使に努めます。
MFSは、スチュワードシップ活動の一環として、投資先企業とそれぞれの優先課題について意見交換しています。特定の課題に関して十分な進展が見られない場合、MFSの懸念を表明し、お客様の長期的な経済的利益のために変化をもたらすために、経営陣に対し反対票を投じる判断を下すことがあります。
環境、社会、ガバナンスの問題を含め、株主が関心を寄せる企業の議案の特定の事項に関して、企業または他の株主と対話または書面によるコミュニケーションを行うことが適切かつ有益であると判断する場合があります。これは、議案について議論し、互いに理解を深めるため、あるいはMFSの行使判断について投資先企業がその背景を理解することを目的としています。
また、企業や株主は、企業が正式な株主総会の招集通知を発する前に、議決権行使委員会またはスチュワードシップ・チームとエンゲージメントを図ることで、より一般的な問題の検討や特定の議案への支持について確認することができます。議決権行使に関するエンゲージメントの依頼、またはMFSのエンゲージメントの優先順位に関する詳細については、dlstewardshipteam@mfs.com までお問い合わせください。
MFSは、当該時に有効な本方針および手続きの写しを保持し、MFSファンドのファンドボードに提出された議決権行使に関する報告書のすべてを、適用法令で定められた期間、保持します。議決権行使委員会がまとめた投票用紙の電子版を含む議決権行使に関連する資料は、議決権行使助言会社のプラットフォーム上で管理するそれぞれのメモやコメントとともに保存され、議決権行使委員会と実務担当者はオンラインでアクセスすることができます。また、議決権行使助言会社のシステムによって作成された、投票用紙の受領日および提出日、各社の総会議案に関する情報を含む、すべての議決権行使資料および関連書類は、準拠法の要請に従い保管されます。
MFSでは、四半期毎に米国籍MFSファンドの議決権行使の結果を一般に公開します。また、当該ファンドのファンドボードに対しても報告を行います。報告には、(i)議決権行使の結果概要(役員報酬、ゴールデンパラシュートへの諮問投票を含む)、(ii) 会社提案の議案に反対した場合の概要、(iii) MFSが本方針および手続きにしたがって議決権を行使しなかった事案のレビューとその理由、(iv) MFSが重大な利益相反を特定するために使用した手続きおよび重大な利益相反と特定された事項のレビュー、(v)本方針および行使基準のレビュー、(vi)議決権行使に関するエンゲージメント活動のレビュー、(vii)米国の発行体の有価証券貸付の回収に失敗した事例の報告および影響についての評価、(viii) 必要に応じて、コーポレートガバナンスやその他の問題における新たな展開を反映させるための修正案、などが含まれます。これらのレビューに基づき、米国籍MFSファンドのファンドボードは、必要または望ましい範囲で、関連する方針の変更の可能性を検討します。
MFSは、法令で義務付けられている場合、特定のお客様(特定のMFSファンドを含む)の議決権行使の結果、または特定の事案に関する議決権の行使について、一般に公開することがあります。また、要請を受けたお客様に対し議決権行使の結果を報告書として提出することがあります。この報告書には、そのお客様のために当該年に議決権を行使した各議案に関する結果と見解を明記しています。さらにご要望に応じて、本方針および手続きに従って議決権を行使しなかった事例についても開示します。
MFSは、全社的な議決権行使結果を四半期毎に一般に公開しています。
ただし、議決権行使にかかる情報について、お客様またはその代理人以外のいかなる関係者に開示することはありません。なぜなら、その情報は、お客様にとって機密かつ専有の情報であると考えるからです。ただし、特定の事項に関して企業とエンゲージメントを行うことが適切かつ有益であると判断する場合があります。そのような企業とのエンゲージメントの過程で、環境、社会、ガバナンスの問題に関して企業にポジティブな変化をもたらす可能性がある場合、賛否の意向を示すことがあります。
1 MFSの「独立性」の判断は、企業、企業の上場取引所、議決権行使助言会社など第三者の判断と異なる場合があります。
2 補足説明:MFSは、お客様が同じ発行体の「ショート」ポジションを保有しているかどうか、あるいは株主議決権のない社債保有者などであるかどうかにかかわらず、株主議決権を持つお客様にとって最善、かつ長期的、経済的利益になるという判断に基づいて議決権を行使することにご留意ください。
3 出張やその他の予定によりポートフォリオ・マネジャーやリサーチ・アナリストが適切に助言できない場合があります。株主総会の締切日前の合理的な時間内に助言が得られない場合、MFS議決権行使委員会は議決権行使の棄権を決定することがあります。