MFSスチュワードシップ活動に関する表明
MFSインベストメント・マネジメント株式会社のスチュワードシップ活動に関する表明
(2024年8月1日改定)
当社のお客様には、長期的な投資目的の達成のために、当社を受認者(フィデューシャリー)としてご採用いただいております。通常、当社のお客様の目的は、適切なリスクパラメーターの範囲内でポートフォリオのリターンを最大化することです。お客様のこの目的を達成するための手段として、当社ならびにマサチューセッツ・ファイナンシャル・サービセズ・カンパニーおよびその子会社(以下総称して「MFS」または「MFSグループ」と言います。)では原則として、耐久性のある長期的な競争優位性を持った企業への投資に重点を置いた運用手法を採用しています。アクティブ運用の運用会社として、MFSグループは長期志向の運用戦略を採用しており、一つの市場サイクルを通じて価値を創造することを可能とするために強力なファンダメンタルズ、競争上の優位性、および特性を有していると、MFSが考える企業に投資します。そして、グループ全体で一体化された「グローバル・リサーチ・プラットフォーム」が、MFSの運用プロセスの基盤となっています。MFSは、地域横断的なファンダメンタル分析やクオンツ分析を通じて、投資対象となるそれぞれの企業について包括的な将来の価値を予測します。世界の主要な金融センター9か所に配したリサーチ拠点に所属する運用プロフェッショナルは、地域を跨いだ8つのグローバル・セクター・チームに分かれて活動しますが、そこでの活動の成果は最終的に統合され、運用プロフェッショナル全体で共有されます。セクター・チームは、世界の類似する業種内の投資対象の分析を行うファンダメンタル株式アナリストから構成されています。視野を広げ、洞察を深めるため、各チーム内での議論にはクオンツ・アナリスト、債券のクレジット・アナリストおよびポートフォリオ・マネジャーも参加します。グローバルなコラボレーションを活用して情報を共有し、統合することによって、お客様からお預かりした資産の運用に対する洞察力を深めることができる、MFSはそう考えています。
また、MFSは、環境、社会問題およびコーポレート・ガバナンス(以下「ESG」と言います。)に関する課題が企業の長期的な経済的価値に影響を与え得ると考えており、お客様の投資目的を達成し経済的利益を守るという受託者責任と矛盾しない範囲で、ESGに関する課題をMFSの運用プロセスおよびエンゲージメント(対話活動)の中に組み込んでいます。通常、これらの要素の投資分析への組込みは、株式や債券への投資に関連します。MFSでは、戦略的リーダーシップを発揮し、サステナビリティを全社的に効果的に組み込むための監督委員会を設置しています。MFSサステナビリティ・エグゼクティブ・グループ(SEG)は、MFSのサステナビリティ戦略に関する戦略的リーダーシップを発揮しています。このグループには、全社的なサステナビリティの組込みを担当する様々なシニア・リーダーが含まれています。MFSでは、既存の委員会ガバナンス体制の一部である委員会も設置しています。これらの委員会は、当社の戦略のうち特定の側面の実施に取り組んでいます。
MFSでは、サステナビリティに対するアプローチは私たちの基本的な運用プロセスの一部を構成するものであると確信しており、従って、インテグレーションとアクティブ・オーナーシップには運用プロフェッショナル全員が積極的に関わり、その成功に責任を負うことが求められます。運用チーム全体でこれらの取組みの採用、実施、強化を促進するため、持続可能な投資に専念し、チーム全体やサステナビリティのトピックの専門領域に戦略的なリーダーシップを提供する多くの人材が在籍しています。運用チームには、グローバルESGインテグレーション・ディレクターのほか、ESGリサーチ、議決権行使およびエンゲージメントを専任とする株式リサーチ・アナリスト1名と債券リサーチ・アナリスト1名ならびに債券リサーチ・アソシエイト1名が所属しており、運用チーム全体のサステナビリティのトピックについての検討を進めることに大きく貢献しています。これらの人材は、当社のサステナビリティへの取り組みを促進する重要な役割を担っており、当社のポートフォリオ・マネジャーやアナリストにより実施されるESGのトピックに関する継続的なリサーチを支援・強化しています。さらに、スチュワードシップ・チームを運用チーム内に置くことで、スチュワードシップ・プロフェッショナルと運用プロフェッショナルの連携を強化し、保有資産全体にわたってより効率的でインパクトのあるエンゲージメントを目指しています。スチュワードシップ・チームは現在6名で構成されており、個人的および集団的エンゲージメントを含むスチュワードシップ活動の実施や、議決権行使を担当しています。今後もスチュワードシップ・リソースへの投資を引き続き重視してまいります。
日本版スチュワードシップ・コード(以下「本コード」と言います。)に関する有識者検討会(以下「有識者検討会」と言います。)は、2014年2月に、投資先の企業と目的を持った対話を行う機関投資家(運用機関としての機関投資家を含む)のためのベストプラクティスを示す声明を公表しました(2017年5月29日改訂)。2020年3月、有識者検討会は、議決権行使助言会社などのサービス提供者に適用される原則の新設や機関投資家にサステナビリティを巡る課題に関する対話において目的の意識を持つべきことを推奨することを含む、本コードの再改訂を行いました。再改訂後の本コードは、8つの原則から構成されます。これらの原則について、そして当社がこれらの原則を投資アプローチや議決権の行使活動にどのように組み込んでいるかについて、以下にご説明いたします。
原則1 - 機関投資家は、スチュワードシップ責任を果たすための明確な方針を策定し、これを公表すべきである。
MFSは、お客様が投資目的を達成するための受認者(フィデューシャリー)としての役割を任命されているため、スチュワードシップ責任を非常に重く受け止めています。一方で、本コードの各原則を遵守するために形式主義的なアプローチを取ることは、必ずしもお客様の経済的利益にはならないと考えています。そこで、MFSは、本コードの各原則を遵守することがお客様の長期的な経済的利益やお客様から委任された権限と矛盾しない範囲内で、本コードの原則を運用プロセスおよびエンゲージメントの中に組み込んでいます。スチュワードシップ責任を果たすための方法についての詳細は、以下、本コードの他の原則へのMFSの対応の中でご説明します。また、上述のとおり、MFSではMFS責任投資およびエンゲージメントに関する規程を定めており、その概要はwww.mfs.com/japan/にてご覧いただくことができます。
通常のリサーチ・プロセスの過程では、事業への理解を深め、株主価値を高めると考える場合には、MFSの運用チームは、投資先や投資先候補の企業の経営陣とのミーティングにおいてサステナビリティに関する課題をテーマとして議論します。また、運用部門のESG担当者は、運用チームのメンバーが経営陣との議論に盛り込むことができるようなサステナビリティに関する課題を明確に示すことによってメンバーと共有します。目的を持った対話のテーマの事例としては、(ⅰ) コーポレート・ガバナンス(取締役会の独立性、経営者の株主重視、役員報酬、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DEI)のトピックや人的資本に関する問題など)、(ⅱ) 労使関係および労働者の安全、(ⅲ) 環境に関するスチュワードシップ、およびそれに関連する安全管理とリスク管理、(ⅳ) 事業展開する地域の諸団体、政府、および非政府組織との交流などが挙げられます。またMFSは、将来の運用成果は気候変動とそれに関連するリスクの影響を受ける可能性がある、と認識しており、そのためMFSの運用チームは気候問題に関連したガイドラインを採用し、MFSにおけるエンゲージメントについての情報を提供しています。さらにMFSは、2021年7月にネット・ゼロ・アセット・マネージャー・イニシアティブ(NZAM)の署名機関となりました。2022年5月には、2050年までに上場株式と社債の全投資先企業をネット・ゼロにすることを発表しました。これは、現在の当社のグローバル運用資産残高(AUM)の約92%に相当します。気候変動リスクが企業にとって重要であると考え、これを長きにわたり当社の投資アプローチの一部としてきたことを踏まえると、当社の運用プロセスを変更するものではありません。
また、MFSは、スチュワードシップ責任の一環として、株主の最大かつ長期的な経済的利益に資する観点から株主議決権を行使します。議決権行使に係る問題について投資先企業と率直に議論することは、MFSのスチュワードシップ責任の重要な側面だと考えています。そのため、MFSのスチュワードシップ・チームのメンバーは、目的を持った対話を行うことで投資先企業の議案に関する問題への理解が深まると考える場合は、投資先企業または他の株主と対話を行います。投資先企業と議論する課題としては、役員報酬、取締役の説明責任、様々なESGに関する課題についての株主提案などが挙げられます。また、スチュワードシップ・チームは、サステナビリティに関する特定の問題に関して発行体と対話を行うこともあります。また、正式な委任状勧誘に先立って投資先企業と目的を持った対話を行い、提案された議案に対するMFSの見解について議論することもあります。
お客様や投資家に代わって投資先企業と対話することは、MFSの投資アプローチにとっても重要な要素です。MFSは、長期志向で運用を行う運用会社として企業と対話することが、アセットオーナーと企業双方の長期的価値の増大につながると考えています。
MFSのスチュワードシップ活動に関する説明については、www.mfs.com/sustainabilityをご参照ください。
原則2 - 機関投資家は、スチュワードシップ責任を果たす上で管理すべき利益相反について、明確な方針を策定し、これを公表すべきである。
MFSの利益相反管理方針は、MFS全体の利益相反を管理するための枠組みを確立し、MFSが利益相反を特定、防止、管理するための合理的な措置を講じることを義務付けています。また、利益相反管理方針は、MFSに対し、MFSおよびお客様の活動に関連して特定された利益相反について、利益相反リストを保持することを義務付けています。リストには、実際の利益相反と潜在的な利益相反の両方が含まれ、MFSのビジネス・モデルの変化から生じる新たな利益相反や変更を反映するために、必要に応じて更新されます。さらに、MFSの従業員は職務行動規範に基づき、随時、潜在的な利益相反の開示が求められています。これらの開示は、コンプライアンス部門によって調査され、実際の利益相反または潜在的な利益相反を排除、軽減または管理するための措置が講じられます。
一般的に、MFSでは、お客様にサービスを提供する通常の過程で生じる利益相反に対処し、これを軽減する方針および手続を採用しています。このような利益相反の例としては、顧客口座に関連する自己勘定取引の方法およびタイミングの指定、取引の配分方法、株式の議決権行使方法、ソフト・ダラーの使用、個人取引、MFSの従業員が個人的利害関係を理由にビジネス・パートナーを雇用、保持その他協力するインセンティブを与えられること、などが挙げられます。さらに、MFSは、利益相反を抑制するために以下の行為を行うことがあります。
o 関係者への開示
o 情報、物理、運営上の障壁(倫理的境界)の設置
o 責任の分離、または意思決定に対する独立したレビューの実施
o お客様に対する独立カストディアンでの資金や証券の保管の義務付け
加えて、以下のような組織体制を維持することで、利益相反の可能性をさらに軽減しています。
o 職務の分離
o 必要に応じた倫理的境界その他の情報障壁の設置
o コンプライアンス、リスク管理、内部監査の機能の独立性
MFSの議決権行使ガイドラインはさらに、投資先企業に対する議決権行使について重大な利益相反の可能性がある場合の管理方法を定めています。MFSが方針とする議決権行使の判断は、お客様の最大かつ長期的な経済的利益に資する観点から行われ、他の利害関係者やMFSの利益のために行われない、というものです。議決権行使委員会のメンバーや、議決権行使の判断に関与する他の従業員が、議決権行使の判断を行うにあたり個人的な利益が生じると認められる場合、そのメンバーまたは従業員を、議決権行使のプロセスから除外します。さらに、議決権行使委員会には、主たる職務がお客様とのリレーションシップ・マネジメント、マーケティング、または営業に携わる従業員は含まれません。また、MFSが(ⅰ)議決権行使ガイドラインの規定とは異なる議決権行使を検討している場合、(ⅱ)議決権行使ガイドラインに規定されていない議案を検討する場合、(ⅲ)取締役の選任、顧問報酬、退職金パッケージに関連する過剰な役員報酬の可能性がある議案を審査する場合、または(ⅳ)運用チームによる議決権行使の助言が必要な議案(例えば、企業買収など)を検討する場合、MFSは、その議案がMFSと重要な関係を持つ発行体と関わるものかどうか、またはMFSと重要な関係を持つ株主から提案されたものであるかを検討します。重要な関係、つまり潜在的な利益相反を認識した場合、議決権行使委員会は、議案を慎重に審査し、議決権の行使が最終的に、MFS自身の企業利益よりもお客様の最大かつ長期的な経済的利益に資する観点から行われるよう徹底するとともに、当該事象をMFSコンフリクト・オフィサーに報告します。1
原則3及び4 - 機関投資家は、投資先企業の持続的成長に向けてスチュワードシップ責任を適切に果たすため 、当該企業の状況を的確に把握すべきである。また機関投資家は、投資先企業との建設的な「目的を持った対話」を通じて、投資先企業と認識の共有を図るともに、問題の改善に努めるべきである。
MFSでは、投資先企業のモニタリングは、スチュワードシップ・チームを含む運用チームのメンバーによって行われます。運用チームのメンバーは、企業の収益、バランスシート、キャッシュフロー、競争力、経営管理能力などの要素を分析します。また、運用チームは、対象とする各企業を包括的に捉えるために、企業の経営陣、取引先、競合他社、コンサルタントおよび業界の関係者と定期的に会合を持ちます。MFSは、サステナビリティに関する重要な問題が企業の長期的な経済的価値に影響を与える場合が多いと考えるため、これらの会合ではこうしたトピックも頻繁に議論されます。この分析および継続的なモニタリングは、ポートフォリオの投資判断者や他の運用アナリスト(ESGアナリスト、スチュワードシップ・チームのメンバーおよびクオンツ・アナリスト)と協働のうえ、主に当該企業を担当するアナリストの責任において行われます。運用チームが重要な問題の分析およびモニタリングを行うにあたり、運用部門のESG担当者は、すべての重要な問題の評価の面で、株式運用チームのメンバーを支援します。原則1での説明に記載のとおり、MFSの運用チームはまた、気候問題に特化したガイドラインを採用しており、発行体とのエンゲージメントについての情報を提供しています。また、MFSは、ESGのテーマに関する外部機関による調査を、社内での調査分析を補完する目的で利用します。
同様に、スチュワードシップ・チームのメンバーも、目的を持った対話を行うことで投資先企業の議案に関する特定の問題への理解が深まると考える場合は、投資先企業または他の株主と対話を行います。投資先企業と議論する課題としては、役員報酬、取締役の説明責任、企業文化、適用されるコーポレート・ガバナンス・コードの遵守、および様々なサステナビリティに関する課題についての株主提案などが挙げられます。また、正式な委任状勧誘に先立って、投資先企業と目的を持った対話を行い、企図されている提案に対するMFSの見解について議論することもあります。
MFSは、投資先企業と個別に対話することに加えて、志を同じくする組織、運用会社やアセットオーナーと共同エンゲージメントイニシアティブにおいて協働することは、広く資産運用業界における基準を引き上げ、優れた実践方法を促進する有効な方法となり得ると考えています。このようなイニシアティブを促進する共同体や共同組織に参加すべきかどうかについてMFSは定期的に評価を行っています。またMFSでは、株主によるイニシアティブや株主提案への賛同者と対話を持つことがあり、重要な議決権行使の問題に関するMFSの見解を伝えるのに役立っています。MFSは、議決権行使の新たな問題についてのソート・リーダーシップを発揮しようとする、様々な業界内のワーキンググループや業界団体に参加し、サステナビリティの諸課題に関する多様な集団的エンゲージメントや業界イニシアティブでの署名活動に協力しています。またMFSは、そうすべきであると考えるときには、様々な監督機関に対してコーポレート・ガバナンスの再構築を促すための会合を持ち、あるいは書状を送付することがあります。
MFSは、重要な非公開情報の悪用を防止するための明文化された方針を策定しています。この方針はMFSのすべての取締役、幹部従業員および従業員ならびにMFSの各子会社(以下総称して「MFS社員」と言います。)に適用され、同方針により、発行会社に関する重要な非公開情報を保持しながら、または他のMFS社員が重要な非公開情報を保持していることを知りながら、当該会社が発行する有価証券の取引もしくは取引の推奨を行うことは禁じられています。また、MFS社員は、事前の承認を得ずに、重要な非公開情報を第三者に伝えることも禁じられています。これらの禁止規定は、個々のMFS社員に適用されるとともに、他人を代理して行う取引にも適用されます。
原則5 - 機関投資家は、議決権の行使と結果の公表について明確な方針を持つとともに、議決権行使の方針については、単に形式的な判断基準にとどまるのではなく、投資先企業の持続的成長に資するものとなるよう工夫すべきである。
当社に議決権行使を委任されたお客様が所有する株式の議決権行使について、MFSでは明確で健全な方針を採用しています。MFSは、株主の長期的な経済的利益のために最善と思われる方法で議決権を行使します。MFSの議決権行使活動は、MFSスチュワードシップ・プロフェッショナルの支援を受けながら、MFS議決権行使委員会(運用チームと法務チームの担当者を含む)によって監督されています。一般的に、議決権行使の意思決定は、お客様の最大かつ長期的な経済的利益に資すると考えられる観点から行われます。この基本原則によってお客様を代理してMFSが行うすべての議決権行使が決定されます。「議決権行使方針および手続」には、MFSが特定の事項について一般的にどのように議決権を行使するかを規律する議決権行使ガイドラインが含まれています。MFSは、ある発行体の株式を複数のお客様のポートフォリオが保有している場合、通常、同一事項については同様に議決権を行使しますが、特定の状況(例えば、お客様が自身の勘定について異なる議決権を行使するよう明示的に指示した場合など)においては、同一事項についてお客様のポートフォリオごとに異なる議決権を行使する場合があります。MFSは通常、すべての株主総会における同様の委任状提案に対して一貫した議決権行使を行うように努めます。ただし、多くの委任状提案(例えば、合併や買収、環境、社会、ガバナンスに関する株主提案など)は、発行体と提案について関連するすべての事実と状況に照らしてケース・バイ・ケースで分析されるものであるため、MFSは、株主総会ごとに同様の提案に対して異なる議決権行使を行う場合があります。さらに、MFSは、MFSの最善の判断により、お客様の最大かつ長期的な経済的利益に資するよう議決権を行使するという全体的な原則に合致すると考えられる場合、特定の委任状提案に関して議決権行使ガイドラインに従わない権利も留保します。上述のとおり、MFSは、議決権行使の意思決定において、企業固有の状況を考慮するよう努めます。重要で複雑な、または通常とは異なる議決権行使事項がある場合、MFSは、議決権行使を行う前に企業との対話を求め、議決権行使の判断に反映させることがあります。MFSは、発行体による意思決定をより良いものにするために、通常、議案に対して「賛成」または「反対」のいずれかに議決権を行使することにより明確な意思決定を提供するよう努めますが、MFSの最善の判断により、そうすることがお客様の最大かつ長期的な経済的利益に資すると考えられる場合には、「棄権」に議決権を行使することがあります。MFSの見解または対応する理由を発行会社に明確に知らせたい場合、MFSは、その投票意図を発行会社に伝える場合があります。
MFSは、外部の議決権行使助言会社との間で、議決権行使を行う上での行使実務や記録保持等の管理サービスを受けることを目的とした契約を締結しています。また、投資先企業の議案について、議決権行使助言会社からのレポートおよび議決権行使の推奨も受けています。これらは、(ⅰ)潜在的に過剰な役員報酬問題や、(ⅱ)環境や社会に関する株主提案のうち支持するべき提案、(ⅲ)適用されるコーポレート・ガバナンス・コードの一部を含む、市場における一般的なベストプラクティスを明らかにするのに有用です。また、上記の状況を特定するために、他のリサーチツールを用いることもあります。議決権行使助言会社からリサーチレポートと議決権行使の推奨を受領していますが、これらのレポートは他の情報源(例えば、議案、エンゲージメントやその他第三者機関の調査など)と同様、あくまでMFSがお客様の最大かつ長期的利益に資すると確信する議決権行使を決定する総合的な分析材料の一つでしかありません。MFSでは、議決権行使助言会社から提供されるリサーチが正確であり、潜在的で重要な利益相反について合理的に取り組んでいることを確認する目的で、デューディリジェンス・プロセスを実施しています。加えて、議決権行使に関する規程を内部的に、第三者の議決権行使助言会社から独立して整備しています。2
当社は、年度ごと(4月1日から3月31日)の日本企業に関する議決権の行使結果を8月末までにwww.mfs.com/japan において公表しています3。またMFSでは、MFSグループ全体の議決権行使の結果とMFSが運用する多くのビークルにおける議決権の行使結果を、四半期ごとに公表しています。直近終了した暦年において議決権が地域毎にどう行使されたか等、MFSの議決権行使活動のグローバルな分析については、サステナビリティアニュアルレポートに掲載いたします。
MFSの議決権行使ガイドラインの概要については、www.mfs.com/japan/をご覧ください。当社に議決権行使の権限を委任されたお客様には、ポートフォリオで保有する株式に関する議決権行使結果の概要をお送りします。
原則6 - 機関投資家は、議決権の行使も含め、スチュワードシップ責任をどのように果たしているのかについて、原則として、顧客・受益者に対して定期的に報告を行うべきである。
直近年におけるMFSのサステナビリティおよびスチュワードシップ活動の詳細については、www.mfs.com/japan/にあるサステナビリティアニュアルレポートにてご覧いただけます。また、四半期ごとにスチュワードシップ・レポートも発行しています。両レポートにおいて、MFSのインテグレーションおよびリサーチ活動、議決権行使活動、当該期間のエンゲージメントと統計、運用チームのESG関連エンゲージメントとその結果の概要および総括について、詳細な最新情報を記載しています。www.mfs.com/sustainabilityからご覧ください。
また、MFSは、国連責任投資原則など、当社が加盟する共同体または機構が求める責任投資の取組みに基づく報告を行っており、お客様にご参照いただくことが可能です。
原則7 - 機関投資家は、投資先企業の持続的成長に資するよう、投資先企業やその事業環境等に関する深い理解のほか運用戦略に応じたサステナビリティの考慮に基づき、当該企業との対話やスチュワードシップ活動に伴う判断を適切に行うための実力を備えるべきである。
お客様が目的を達成するための手段として、MFSでは原則として、長期的な競争優位性を持った企業への投資に重点を置いた運用手法を採用しています。この取り組みの一環として、MFSでは、サステナビリティ要素をリサーチに組み込むことは必要不可欠であると考えていますが、それは、ESGに関する課題が企業の経済的価値に影響を与ることが多くあるからです。グループ全体で一体化された「グローバル・リサーチ・プラットフォーム」が、MFSの運用プロセスの基盤となっています。MFSは、地域横断的なファンダメンタル分析やクオンツ分析、経営組織全体の資本構造分析を行うことで、投資対象となるそれぞれの有価証券についてより精緻な将来価値を予測します。世界の主要な金融センター9拠点に所属する運用専門家は、地域を跨いだ8つのグローバル・セクター・チームに分かれて活動しますが、そこでの活動の成果は最終的に統合され、運用専門家全体で共有されます。セクター・チームは、世界の類似する業界内の投資対象の分析を行うファンダメンタル・エクイティ・アナリストから構成されています。視野を広げ、洞察を深めるため、各チーム内での議論にはクオンツ・アナリスト、債券クレジット・アナリストおよびポートフォリオ・マネジャーも参加します。グローバルなコラボレーションを活用して情報を共有し、統合することによって、お客様からお預かりした資産の運用に対する洞察力を深めることができる、MFSはそう考えています。
またMFSは、重要なサステナビリティに関する課題が企業の経済的価値に影響を与え得ると考えており、お客様の投資目的を達成し経済的利益を守るという受託者責任と矛盾することのない範囲内で、ESGに関する課題をMFSの運用プロセスおよび株式所有者としての活動の中に組み込んでいます。MFSの運用チームには、運用部門ESG担当者が所属しています。グローバルESGインテグレーション・ディレクターおよびESG専任のアナリストとアソシエイトは、運用チームと幅広く協働することで、すべての重要な要素が意思決定プロセスにどのようにインパクトを与えうるのかを運用スタッフが理解を深めることができるように設計された、きめ細かい総合的な統合戦略を策定しました。また、ESG専任の運用スタッフは戦略レベルの定期的なサステナビリティ・ポートフォリオ・レビューに参加しています。同様に、運用チーム内にワーキンググループを設置して、セクター別のサステナビリティの問題に関連する特定のトピックに関し、他のチーム・メンバー向けのガイダンスを策定、提供しています。さらに、グローバル・スチュワードシップ・ディレクターが他の5名のスチュワードシップ・プロフェッショナルのチームを率い、日々の議決権行使活動を管理し、運用チームの他のメンバーと協働でエンゲージメント活動に取り組んでいます。また、エクイティ運用チームのメンバーが重要な問題の分析およびモニタリングを行うにあたって、MFSは、ESGに関する問題を含めて、外部機関による調査結果も利用します。この調査結果は、MFSの運用チームのメンバーは全員参照することができ、その内容には例えば、各投資先企業のESG格付けやその他重要なデータが含まれます。
上述のとおり、サステナビリティ・エグゼクティブ・グループがMFSのサステナビリティ戦略に関する戦略的リーダーシップを発揮しています。また、当社のガバナンス体制には、スチュワードシップ活動の様々な側面を監督する3つの委員会(インベストメント・サステナビリティ委員会、議決権行使委員会、コーポレート・サステナビリティ委員会)が含まれます。
原則8 - 機関投資家向けサービス提供者は、機関投資家がスチュワードシップ責任 を果たすに当り、適切にサービスを提供し、インベストメント・チェーン全体の機能向上に資するものとなるよう努めるべきである。
この原則は、MFSに直接的に適用されるものではありません。議決権行使助言会社および外部のESGデータ提供機関からはリサーチレポートと議決権行使の推奨を受領していますが、これらのレポートは他の情報源と同様、あくまでMFSが発行体との対話に関する情報を提供し、お客様の最大かつ長期的利益に資すると確信する行使を決定するための総合的な分析のための材料の一つでしかありません。MFSでは、議決権行使助言会社から提供されるリサーチが正確であり、潜在的で重要な利益相反について合理的に取り組んでいることを確認する目的で、特定のデューディリジェンス・プロセスを実施しています。議決権行使助言会社をどのように活用しているかについての詳細は、原則5に対する説明をご覧ください。
MFSは、志を同じくする運用会社やアセットオーナーと共同エンゲージメントイニシアティブにおいて協働することは、サステナビリティの問題や、それらの問題を運用プロセスに組み込むことでこの業界にもたらされる課題を理解する上で、大いに役立つと考えています。以下は、MFSが参加しているイニシアティブの一部です。
共同イニシアティブ/所属団体 | 説明 | MFSの役割 | 加入年 |
アジア・コーポレート・ガバナンス協会 (ACGA) |
アジア全域における効果的なコーポレート・ガバナンスの実践に向け、企業、規制当局、投資家と協力することを目的とした組織 | メンバー | 2019 |
ASCORプロジェクト (ソブリン気候関連機会およびリスクの評価) |
投資家によるソブリン気候関連のリスクと機会の評価を支援するプロジェクト |
諮問委員会 メンバー |
2021 |
オーストラリアの内部統治および資産管理の原則 | MFSはオーストラリア金融サービス評議会(FSC)のメンバーで、会員資格に基づき、オーストラリアFSC基準第23号:内部統治および資産管理の原則を満たす | メンバー |
2014 |
カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト(CDP) | 投資家、企業、政府が環境への影響を管理するためのグローバルな情報開示システムを運営する非営利団体 |
署名機関 | 2010 |
気候変動リスクとサステナビリティに関するセレス投資家ネットワーク(セレス) |
世界の最も差し迫ったサステナビリティの課題を解決するために、資本市場のリーダーとの協働に重点を置く非営利団体 |
署名機関 | 2021 |
クライメート・アクション100+ |
世界最大の温室効果ガス排出企業が気候変動に対して必要な行動をとることを確保するための投資家主導のイニシアティブ | 署名機関 | 2020 |
家畜投資リスク&リターン(FAIRR)イニシアティブ | 世界の食品セクターにおけるESGリスクに焦点を当てた投資家ネットワーク | 署名機関 | 2021 |
フォーカシング・キャピタル・オン・ロングターム (FCLグローバル) |
投資のバリューチェーン全体にわたって長期的な行動を支援するための実践的なツールやアプローチを開発し、ビジネスや投資の意思決定においてより長期的な視点に立つことを奨励する活動を行う非営利団体 | 署名機関 | 2018 |
GRESB |
不動産およびインフラ産業に関し、実用的で透明性の高いESGデータを金融市場に対して提供する投資家主導の組織 | 署名機関 | 2021 |
気候変動に関する機関投資家グループ (IIGCC) |
欧州中心の投資家による気候変動に関する協力、低炭素の未来への真の前進を促すための行動を起こす投資家グループ |
メンバー | 2021 |
企業責任に関するインターフェイス・センター(ICCR) |
株主による企業とのエンゲージメントを変革のための強力な触媒とみなす、信念と価値観に基づく投資家の連合体 | メンバー |
2021 |
インベスター・スチュワードシップ・グループ(ISG) | 米国の機関投資家と企業のための、投資スチュワードシップとコーポレート・ガバナンスの基本的な枠組みを確立することを目的とする米国に本拠を置く大手機関投資家とグローバルな資産運用会社および国際的な同業者による団体 | 設立 メンバー |
2017 |
奴隷制と人身売買に反対するアジア太平洋地域投資家グループ (IAST APAC) |
アジア太平洋地域の投資先企業がバリューチェーンにおける現代奴隷制・労働搾取・人身売買を把握し、解決および防止するための効果的な行動を促すことを目的に結成された投資家主導のイニシアティブ | 署名機関 |
2020 |
日本版スチュワードシップ・コード |
機関投資家が責任ある投資家として行動するための原則を定めたもの | 署名機関 | 2014 |
ネット・ゼロ・アセット・マネージャー(NZAM)イニシアティブ | 2050年またはそれ以前までのネット・ゼロ・エミッションに向けた投資を支援することを約束した資産運用会社グループ | 署名機関 |
2021 |
国連責任投資原則(PRI) | ESG課題の組込みを通じて持続可能な投資の促進に取り組む国連が支援する投資家ネットワーク |
メンバー |
2010 |
科学に基づく目標イニシアティブ(SBTi) |
温室効果ガスの排出量の多い企業に対し、科学に基づく排出削減目標を設定するよう求める取組み |
署名機関 | 2020 |
ShareActionワークフォース・ディスクロージャー・イニシアティブ(WDI) |
責任ある投資と企業行動の改善を推進する英国の慈善団体ShareActionの共同エンゲージメント・プログラム | 署名機関 |
2020 |
シンキング・アヘッド・インスティテュート(TAI) | 貯蓄の提供を改善することによって投資の世界に良い変化をもたらすことを目的とするグローバルな非営利団体 | 署名機関 |
2017 |
気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD) | 企業が報告すべき気候変動関連の財務リスク開示の枠組みを策定。業界を超えた広範かつ一貫性のある情報共有を促すことで、金融市場が気候変動に対応する能力を高めることを目指す | 署名機関 (サポーター) |
2019 |
英国スチュワードシップ・コード | 2020年にFRCが英国スチュワードシップ・コードの新版を発行。MFSは2012年以降、旧版の英国スチュワードシップ・コードから署名 | 署名機関 |
2012 2020 |
英国持続可能投資金融協会(UK SIF) | 英国のサステナブル・ファイナンスと投資コミュニティを結集し、重要なこの分野を拡大、強化、促進するためにメンバーを支援する |
メンバー | 2021 |
気候変動に関するアジア投資家グループ(AIGCC) |
気候変動に関連するリスクと機会について、アジアのアセットオーナーや金融機関の認識を高め、行動を促すイニシアティブ | メンバー |
2023 |
国連グローバル・コンパクト(UNGC) |
世界中の企業に持続可能で社会的責任のある方針を採択させ、その実施状況を報告させるための、拘束力のない国連のイニシアティブ | 署名機関 | 2023 |
MFSは、受認者(フィデューシャリー)としての責任を全うする一方で、アクティブ運用の専門知識を駆使してお客様に望ましい運用成果をもたらすべく、常に前進を続けています。本文書は、スチュワードシップ活動との整合性を確保するために毎年見直され、必要に応じて更新されます。
詳細についての連絡先
日本版スチュワードシップ・コードに基づく当社の活動についての説明を希望されるお客様は、営業部担当者までご連絡ください。
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1 そのほか、MFSにおける具体的な取扱いをいくつか、以下にご紹介いたします。まず、MFSファンド(MFSが運用する合同運用ビークル)の取締役を兼ねる取締役候補者の評価を行う場合には、議決権行使委員会はMFSが当該発行会体と重要な関係にあるか否かに関わらず、これら同様のプロセスを忠実に実行します。さらに、サンライフ・フィナンシャル・インク、あるいはその子会社から株主提案された事項に対して、お客様が株主権を保持されている場合には、MFSはお客様の代理としてお客様のご指示に従って、あるいはインスティテューショナル・シェアホルダーズ・サービシーズ・インク(以下「ISS」と言います。)の助言に従ってお客様が指図することができない事象として、もしくは法令上の要請に従って、議決権を行使します。同様に、MFSファンドの取締役/トラスティがエグゼクティブ・オフィサーを務める公開会社から株主提案された事項について、MFSのお客様が議決権を保持されている場合には、MFSはお客様の代理としてお客様のご指示に従って、あるいはISSの助言に従ってお客様が指図することができない事象として、もしくは法令上の要請に従って、議決権を行使します。最後に、ある特定のMFSファンド(「トップティア・ファンド」)は、他のMFSファンド(「アンダーライイング・ファンド」)を保有する場合があります。アンダーライイング・ファンドが株主権の行使を要する事項を提案する場合、トップティア・ファンドは通常、アンダーライイング・ファンドの他の株主と同一の比率で株主権を行使することとなります。他にアンダーライイング・ファンドの株主が存在しない場合、トップティア・ファンドは、トップティア・ファンドの長期的な経済的利益に資するとMFSが確信する事柄について株主権を行使することとなります。合同運用ビークルの株主に提案された事項についてはMFSのお客様が株主権を行使する権限を保持されている場合には(MFSの役割が主としてポートフォリオ運用であり、他のインベストメント・アドバイザーによって監督される立場であるビークルを除く)、MFSは合同運用ビークルの他の株主と同一の比率でお客様の代理として行使を行います。
2 現在当社は、お客様がご利用になる有価証券貸借取引について管理する権限を委託されておりません。しかしMFSでは、ファンドなどの合同運用形式のお客様のなかには有価証券貸借取引について管理する権限を委託される方もいらっしゃいます。こうしたお客様には、MFSは次のような状況において貸株の回収を行います。すなわち、米国株式について、MFSもしくは代理人が株主総会の通知を受けた場合、MFSがこれらの株式の議決権を行使する権利を保持することができるように、MFSおよびその代理人は権利確定日までに貸し出している株券を回収するように努めます。なお、適時に回収することが不可能な場合、あるいは可能であってもMFSがこれら株式の議決権を行使することができない場合があります。米国以外の株式については、議案内容や権利確定日、行使期限に関する情報が必ずしも早期に通知されず、貸し出している株券を自動的に適時に回収する十分な期間が確保できない市場があるため、MFSは原則として貸株の回収は行いません。結果として、貸し出している米国以外の株式の議議決権については、原則として行使されません。もし貸し出しているにもかかわらず通常とは異なり議決権を行使することに意義があり、議決権を行使することが株主の長期的な経済的利益にとって最良であると判断した場合は、MFSは貸し出している株券を回収するように努めます。
3 お客様の利益に資するとともに当社の議決権行使およびスチュワードシップ活動をご理解いただくための有用な情報提供になると判断した場合は、特定の議決権行使の行使理由について公表することがあります。
本資料は、マサチューセッツ・ファイナンシャル・サービセズ・カンパニー(MFS)及び当社が作成したものです。本資料に記載された見解はMFSおよび当社の見解であり、予告なく変更される場合があります。本資料の見解は、特定ファンドの勧誘を目的とするものではありません。本資料に基づいてとられた投資家の皆様の投資行動の結果については、MFSおよび当社は一切責任を負いません。
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